内容説明
「真澄の日記からは、江戸時代後期の中部、東北地方において、現在の我々が想像するよりもはるかに豊かな文化的ネットワークがあったことを知ることができる。それは真澄の旅先での生活を支えただけではなく、地方から地方へと移動する中での執筆を可能にした大きな要因であった。本書では、真澄の日記における和歌および説話を中心に、その執筆姿勢を検討すること、また「資料」として扱われることの多い真澄の日記の虚構性を明らかにすることを課題とするものであるが、今、真澄の日記を読みその旅を考えることは、このような地方文化のありようを見つめることにも繋がると考えている。」(序論より)付録の「『真澄遊覧記』引用和歌・伝承和歌資料」には、日記から抽出した和歌385首をすべて収録し、その出典となる和歌を掲げた。
目次
1 研究史(真崎勇助から柳田國男まで;内田武志から現在)
2 菅江真澄の旅(菅江真澄の著作;旅を支えた学問;旅の極北)
3 菅江真澄と和歌(「委寧能中路」の性格;古歌の引用と詠歌の方法;信濃の日記における古歌の引用―『夫木和歌抄』と『歌枕名寄』、そして地誌)
4 東北の旅(「旅」をつくる真澄―「齶田濃刈寝」における歌枕の記事を中心に;真澄と飢饉;大館市十二所の三哲伝説―「雪能飽田寝」の記述をめぐって)
付 『真澄遊覧記』引用和歌・伝承和歌資料
著者等紹介
佐伯和香子[サエキワカコ]
1973年東京生まれ。1998年明治大学文学部文学科卒業。2008年國學院大學大学院文学研究科日本文学専攻(伝承文学)博士後期課程修了。博士(文学)。國學院大學・明治大学兼任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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