内容説明
この国は何故、談合をやめられないのか―。その「悪しき慣習」に、ひとり岐阜から挑んだ男がいる。公共工事という、税金でまかなわれる事業に平然とまかりとおる談合。役所と建設業者の根深い主従関係は覆せるのか、そして発注・受注システムの変革は果たして成しえるのか!?「“談合破り”は3年冷や飯食え!」が暗黙の掟の中、本書は、行政への強い批判をしながらも、請負人の立場から冷静かつ克明にその一部始終を記録した、秀逸なドキュメントである。
目次
第1章 談合の罠(排他的な条件;「掟破り」の競争へ)
第2章 請負人の葛藤(下請発注をめぐる包囲網;“もの言う請負人”であるために)
第3章 不毛なる闘争(設計改善は非常識か;権限行使の是非を問う;覆い隠される問題の本質)
第4章 役人の欺瞞(黒塗りにされた設計単価;役所論理の“決まりごと”)
第5章 癒着構造との決別(求められる入札参加制限の撤廃;“対等な立場”で協議する)
著者等紹介
桑原耕司[クワバラコウジ]
1941年山梨県生まれ。60年に清水建設(株)入社。88年に退社後、最後の赴任地であった岐阜県岐阜市に(株)希望社を設立、代表取締役社長に就任する。一級建築士・建築設備士・特殊建築物調査資格者。2003年から長野県公共工事入札等検討委員会委員。「談合しない!」をビジョンとして掲げ、公共事業改革に強い信念を持つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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フユコ
2
面白い。社会の重苦しさというか、男たちの世界を読むことが出来てよかった。談合の世界って、重い。2010/10/04
Humbaba
1
どこか一社が努力をしたとしても、それだけで効率化は実現できない。今までのものと変えようとする以上、帰るための許可を取る必要がある。しかし、特にお役所においては一度決まったものを変えるのは難しく、それが本当に適切化を評価する目が養われていない事も多い。2017/05/15
月宮 ゆきと
0
岐阜市の工事監理を厳しく批判する本。著者の主張は非常に理にかなっているため、読んでいてとても楽しかった。(実際に、2010年11月に名古屋高裁で岐阜市の悪意が認定された。)2011/11/11
おさっきー
0
タイトルの「談合」とは、入札時の業者間のものでなく、工事監理における役所側の労力を省くための業者との官製談合というイメージ。慣習と思い当たり前と思って対応してきたことが、視点を変えると「こう見えるのか!」と気付くことができた。しかし、それを本当に行動に移せるところがすごいと思う。ここまで役所に対し徹底的に交戦できるかといわれると。。。弱いなぁ。。2011/06/16