内容説明
帝国と国民国家のはざまで生きた人びとの苦悩と悲劇。日朝関係史の新事実やジェンダー史を取入れ、北方史も視野に入れた広範な共同研究。
目次
「満洲移民」研究の問題点
第1部 帝国の形成(日清戦争前後の「朝鮮通漁」と出漁者団体の形成―朝鮮漁業協会を中心に;明治の技師山本小源太の軌跡―府県農事試験場から韓国統監府へ;台湾高地先住民の土地と生の囲い込み―日本植民国家‐資本による人間分類と「理蕃」)
第2部 帝国の膨張(樺太における「国内植民地」の形成―「国内化」と「植民地化」;満洲鉱業移民構想の成立と挫折―北票炭鉱と鶴岡炭鉱の事例から;北硫黄島民の生活史における移動とディアスポラ化―全島強制疎開から“不作為の作為”としての故郷喪失へ)
第3部 帝国とジェンダー(植民地朝鮮における妓生の再組織化と社会的活動;明治大正期の樺太・サハリンにおける公娼と半公娼;植民地朝鮮における愛国婦人会―併合から満洲事変までの軍事援護と救済活動;在韓日本人女性の戦後―引揚げと帰国のはざま)
著者等紹介
今西一[イマニシハジメ]
1948年生まれ。立命館大学大学院文学研究科修士課程修了。農学博士(京都大学)。小樽商科大学名誉教授。専門分野は日本近現代史
飯塚一幸[イイズカカズユキ]
1958年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。文学修士。大阪大学大学院文学研究科教授。専門分野は日本近代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
13
本書タイトルの共同研究で一見これと言った特徴がなさそうな印象を受けるが、帝国とジェンダーの視点から掘り下げた四つの章「植民地朝鮮における妓生の再組織化と社会的活動」、「明治大正期の樺太・サハリンにおける公娼と半公娼」、「植民地朝鮮における愛国婦人会」、「在韓日本人女性の戦後」などは、どれも極めて貴重な研究成果ではなかろうか。◇「慰安婦問題」ばかりが注目される中、帝国とジェンダーの幅広いテーマに取り組んだ研究成果を、研究者間のインナーサークルだけに留めずいかに社会に広げるかも課題かと思われる。2018/07/19