内容説明
英雄ヘラクレスは、古代ギリシア・ローマ時代から、現代日本を含めて今日に至るまで、繰り返し現われ続けている。この英雄が、人間の夢・願望と、その裏面としての、存在にかかわる不安心理とを、もっとも良く体現しているからである。本書では、神話心理学的な視点を取りながら、ヘラクレス神話という超時代的・超文化圏的な現象を、ギリシア・ローマ時代に即して読み解いた。前半部では、夢や英雄願望の観点からヘラクレス神話を解明し、それも踏まえて後半部では、繰り返し現われるヘラクレスという現象を、より集中的に論じている。
目次
第1章 出世する英雄―ヘラクレスをめぐる夢と不安の物語
第2章 死の克服への執念―オリエント神話その他と比較しながら
第3章 繰り返し現われるヘラクレス
第4章 老ヘラクレス―「異なる顔」の英雄と老年讃美
第5章 ヘラクレスは何者だったのか?―諸起源説・本質論を概観しながら
エピローグ―ルネッサンスから現代までの新しい「ヘラクレスたち」
著者等紹介
内田次信[ウチダツグノブ]
1952年生まれ。京都大学大学院文学研究科修了(西洋古典文学専攻)。現在、大阪大学大学院文学研究科教授(文芸学研究室)。西洋古典やギリシア神話関連の論文のほかに、訳書がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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