内容説明
明治・大正・昭和の代表的作家の作品を次々に分析し、文学史上見落とされていた意外な側面や問題を照らしだして、日本近代文学に幅と深みをもたらす論文集。
目次
1 「内部」と「外部」(「内部」と「外部」という問題―日本近代文学の一面;北村透谷における「内部」と「外部」;透谷と鑑三・透谷と愛山の一側面;泉鏡花作品における“内”と“外”―“魔”を中心に;“心”と“外部”―漱石作品の一端;三島作品における“内部”と“外部”―『金閣寺』を中心に)
2 作品論再考(樋口一葉『にごりえ』の「彼の人」;森鴎外『高瀬舟』異説;Kの代理としての「私」―漱石『心』における言葉の「連鎖」について;三島由紀夫『金閣寺』の構成意識;洋行と“からゆき”―反『舞姫』小説の位相)
3 「典拠」と「借用」(「他界」と「崇高」―「人生相渉論争」開幕前夜の検討;お力の登場―一葉『にごりえ』における「借用」について;水揚げ・出奔・「孤児」物語―『たけくらべ』の美登利の変貌;裏側から読む漱石『心』;芥川龍之介『疑惑』と鴎外・志賀直哉)
著者等紹介
出原隆俊[イズハラタカトシ]
1951年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程中退。県立広島女子大、京都教育大学を経て、89年大阪大学文学部助教授、99年より大阪大学大学院文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マカロニ マカロン
15
個人の感想です:B+。タイトル通り日本近代文学の名作(森鷗外、樋口一葉、夏目漱石など)と言われる作品に従来の読みとは違った視点で謎を解き明かしていく。基調となるのは〈内部〉と〈外部〉の問題。自分の意思を超えて、了解困難なある力が働いて、自己の行動を規制する。これは過去から現代の小説まで枚挙にいとまがない。外部の例としては運命、魔、誰かが耳元でささやく。内部では良心、嫉妬など。私が本作で最も興味深かったのは『にごりえ』(一葉)の「彼の人」は誰か。美登利の変貌問題の決着、『高瀬舟』、『こころ』の読み解き2022/04/22
よっちん
0
図書館2018/05/20