内容説明
革命と冷戦の20世紀をシャガールはどう生きたか。絵と資料からその実像に迫る。
目次
1章 出自 東欧イディッシュ世界
2章 イディッシュ・イディオム
3章 屋根の上のバイオリン弾き
4章 “アポリネール礼讃”
5章 緑と赤のユダヤ人
6章 “ユダヤ劇場壁画”
7章 “革命”
8章 “抵抗”“復活”“解放”
9章 ユダヤのキリスト シャガールの磔刑像
結び 「自制」の画家
著者等紹介
圀府寺司[コウデラツカサ]
1957年大阪府生まれ。大阪大学文学部(西洋美術史)卒。アムステルダム大学美術史研究所に留学し(1981‐88年)、文学博士Doctor der Letterenを取得。オランダ・エラスムス財団よりエラスムス研究賞を受賞。現在、大阪大学文学研究科(美術史、アート・メディア論)教授
樋上千寿[ヒノウエチトシ]
1966年京都市生まれ。同志社大学大学院文学研究科(美学及び芸術学)博士後期課程単位取得退学。大阪大学21世紀COE特任研究員(2004‐06)。2003年にクレズマー楽団「オルケステル・ドレイデル」を結成、主催公演のほか美術館や大学・学会主催のレクチャ・コンサートに多数出演。京都造形芸術大学、神戸夙川学院大学非常勤講師
和田恵庭[ワダエニワ]
大阪府生まれ。大阪大学大学院博士前期課程(西洋美術史)修了。文学修士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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T.Y.
6
謎めいた作品はしばしばイディッシュ語のイディオムを図像化した、ユダヤ人にだけ分かる隠喩。そこに秘められた意図はキリスト教への皮肉、政治的態度、そしてユダヤ教とキリスト教、共産主義と資本主義の間に生きた自らのアイデンティティ…。そうした複数の世界の間に生き、本音を隠さねばならなかったユダヤ人としてのシャガールの姿を、ヘブライ語やイディッシュ語の知識を踏まえて描き出す。英語での先行研究の紹介がかなりの比重を占めるが、それでも日本では貴重な研究書。またユダヤのクレズマー音楽のCDが附属しているのも素晴らしい。2016/04/29