内容説明
蘭学を通して西洋思想と新技術に触れた若者は、困難の中で地元医療への実践をはじめる。師は往復書簡という“生涯教育”でこれを支えた。人のいのちと真正面から取組む師弟の群像を描く。
目次
第1章 緒方洪庵と蘭医学
第2章 適塾の学風と事業
第3章 適塾の門下生たち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なつきネコ@中の人だよ!
34
昔、適塾で買ったままの積本。やっと読めた。緒方洪庵を知るには良い資料。洪庵の業績や著作から適塾の収入、家屋の購入資金まで書いてる。他の支援者や誰から借りたとか興味深い。意外に出身者が地元につくした医者が多い。福沢諭吉や大村益次郎など医学以外で力を示した人が多いからだ。特に驚いたのは土佐に洋学研究所があり、武市瑞山と親しい塾生がいる。土佐で種痘の時も勤王党が権力を握っていた頃で興味深い。長州の久坂玄瑞の兄も大村益次郎も適塾出身。もちろん水戸学の志士は入塾していない。この比較が土長の思想的に興味深い。2024/09/26
コジターレ
9
新しい日本の創造のために、蘭学や医学の探求に人生を捧げた人たちがいる。私利私欲をよそに日本に尽くした人たちのおかげで、今の日本の医学があるのだと感謝せずにはいられない。適塾の「医師の義務」12ヶ条には感銘を受けた。緒方洪庵は、医師のあり方と同時に人間のあり方を説いていたのだろう。大阪の適塾記念館に行ってみたくなった。2015/05/19
6 - hey
6
瓦町の適塾をどうやって購入したかなど、かなりマニアックな話も書いてますが、初心者にもわかりやすい本でした。2012/12/05