新編 別世界通信

荒俣 宏【著】

イースト・プレス（2002/07発売）

• サイズ B6判／ページ数 417,／高さ 19cm
• 商品コード 9784872572957
• NDC分類 904
• Cコード C0090

出版社内容情報

荒俣宏［アラマタヒロシ］
著・文・その他

内容説明

『アンデルセン物語』から『指輪物語』『ハリーポッター』まで名作ファンタジーに秘められた「真実」。大きくリニューアルされ、還ってきた、日本で最初のファンタジーガイド。

目次

序　二一世紀―ファンタジーの復活
第１部　別世界創造とファンタジーの力（復活の原動力―『指輪物語』から『ロード・オブ・ザ・リング』へ；神話の森の癒し―今はない古に帰れ；寓意の扉を開けて神話を超える―見えないものを見る；童心と死霊―幼な心は真理と死後に魅かれる　ほか）
第２部　昼の営みとしてのファンタジー（飛躍による超越―でたらめとウソの底力；計算と予想―現実を限りなく延長させる；知恵ある脇見―常識から目をそらす必要もある；世界言語とユートピア―創るからには理想をめざせ　ほか）

著者等紹介

荒俣宏［アラマタヒロシ］
１９４７年、東京生まれ、慶応義塾大学法学部卒。ファンタジー、幻想文学、博物学研究家、作家、翻訳家としても活躍中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[KAZOO]

様々な幻想文学のジャンルから代表的な著作を選び出して解説されています。私も結構読んでいるつもりなのですが荒俣先生の足元にも及びません。今現在ではこの分野の第一人者といえます。この分野の本のリストがやはり充実しています。読んでいないものをすこしづつ読んでいこうと思っています。

2015/07/04

[磁石]

ここで紹介された全ての本、どれもかれも途方もないビジョンに／現実とはかけ離れた物語世界に目眩を起こさないではいられない。読んでいる最中はもちろんのこと、読後にも今までの現実感覚をクラクラさせる余韻が残る。この本に出会えたこと、読めたことを嬉しく思う。ただ同時に、虚しさのようなものを感じてしまう。ソコはそんなにも広大で果てしなく、全身が魂までもが奮えるほど痺れる感動が詰まっているのに、ココは／現実はそうじゃない。熱狂が冷めたあとの寂しさ……。だからなのか新しく一筆、書き始めたくなる。

2017/04/24

[磁石]

ファンタジーとは、現実世界に並行するような／できるほどの強度を持った準世界を想像し創造すること、そこに読者を引き込む。ソレは時に逃避と言われてしまうが、現実が無間地獄の牢獄であるのならむしろ脱獄でもある、まず理想／自由をしっかりと胸に刻んでおかなければどこにも行けない。だからこそ、そんな現実の実相に迫るものも作り出させる、途轍もないほど長大な人類や星の栄枯盛衰を綴るなどなど。そのビジョンを恐れて毒抜きされてしまう、別物のラベルを貼られてしまうことも。……まだまだ、この世界は広い

2017/01/24

[袖崎いたる]

巻末のブックリストが良い。荒俣宏さんが選んでいることだけでご飯がうまい。ファンタジーは現実の幸福を忘れさせるほどでなくっちゃと言い切るスタイル。

2022/11/27

[袖崎いたる]

ファンタジー小説の心得。荒俣宏の文体って不思議に批評的（critical、critically）じゃないんだよね。言ってることはそれに匹敵してるはずなのに。不思議。ただ、これめっちゃ面白いんだぞ！っていう興奮は伝わってくるのが素晴らしい。冷静じゃないってことじゃないけど、醒めてないってことなのかもな。ごちそうさま。

2021/03/02