内容説明
「右端のを取れっていったら取れ」指示通りの型のメスを渡そうとする看護婦に磯部は荒い声を浴びせた。違うものは違う。俺が欲しいのは右端のだ!磯部は実力派として知られる外科医。彼にはひとつの奇妙な癖があった。汚れたもの、散らかった状況、中途半端なことに耐えられないのだ。そんな彼の前にひとりの医師が赴任してきた…。潔癖すぎる医師を巻き込んだ耐え難い時間を描いた『整理癖』他、『家族の肖像』『開かずの踏切り』『40年』『ドリンク』『ジゴとスミノフとG線上の冷蔵庫』『真夏のメリー・クリスマス』等、日常生活に潜む違和感、恐怖を鍵に奇妙な世界を描き出す傑作短編集。計7作。