内容説明
作られた神話、あるいは俗説・通説を徹底的な資料の検討によって覆す。かつてないマーラー論にして、スリリングな評伝。
目次
第1章 誕生、幼少時代
第2章 修行時代
第3章 さすらう音楽監督
第4章 ヴィーン時代・前期
第5章 結婚と新しい仲間
第6章 ヴィーン時代・後期
第7章 運命の年
第8章 新しい生活
第9章 嵐の予感
第10章 断ち切られた未来
著者等紹介
前島良雄[マエジマヨシオ]
1955年、名古屋生まれ。音楽評論家・翻訳家・予備校講師。国際マーラー協会会員、日本シベリウス協会維持会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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どら猫さとっち
7
19世紀中盤から20世紀初頭まで、指揮者として交響曲と歌曲集を世に送った作曲家として、クラシック音楽史の重要人物であるマーラー。彼の生涯と真実に迫った評伝。幸福と栄光、失意と絶望の狭間のなか、新たな音楽の在り方を模索した彼の姿が、事細かに描かれている。音楽は難解で理解するには時間はかかるが、豊潤な響きは彼の人生を象徴するかのようだ。マーラーを知り尽くした著者に納得。2024/10/05
あやてい
0
マーラーの生涯をたどりながら、「悲劇の作曲家」という作られたイメージを覆していく。いっそ小気味よいのだが、自分自身のマーラー像の大幅修正を迫られて戸惑っているところでもある。孤高の人ではなく自分の演奏に同時代の作曲家を積極的に取り入れて行ったことなど。死に向かう苦悩と葛藤、そして諦念というイメージが定着した第9をどう捉え直すか、いまものすごく頭を抱えている。2014/12/13
めっちー
0
今までのマーラー像はアルマの伝記による所が多かったが、その伝記も嘘が多いというのが解り、マーラーの手紙や言動でマーラー像をひっくり返すのは良かったが、「本当にそうなの?」と思う所が少なからずあった。2013/07/09
Decoy
0
通説・俗説が次々と覆されるのは気持ちがいいくらいであるが、マーラーの指揮者としての凄まじい売れっ子ぶりや、同時代作品にも目を配った意欲的なプログラミングなどの方が、より興味深かった。2012/03/10
千葉さとし
0
クラシック音楽が好きで、マーラーの音楽に惹かれるものがある人、必読の書ですよ、本当に。マーラーについて「語る」本は家族や同僚、同時代人や演奏家に評論家など等本当に多い。だがしかし、本書ほど徹底して事実をして「その時代最高の指揮者、オペラからコンサートへとその活動領域を移そうとしていた」「作曲家としても十分に高く評価され、その音楽は巷間語られるイメージとは切り分けて捉えるべき」と教えてくれる本は他にない。この音楽家について、これまでの私たちが「羅生門」状態に陥っていたことに気づかされますよ?(笑)2011/12/06
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