内容説明
身を堕とした不幸よりもしんじつ、まことを信じたい哀しい願いが溢れる作品群。
著者等紹介
山本周五郎[ヤマモトシュウゴロウ]
1903・6・22‐1967・2・17。本名:清水三十六。山梨県生まれ。小学校卒業後、質店の東京木挽町の山本周五郎商店に徒弟として住み込む(筆名はこれに由来する)。雑誌記者などを経て1926年「須磨寺付近」で文壇デビュー。庶民の立場から武士の苦衷や市井人の哀感を描いた時代小説、歴史小説などを発表。1943年、『日本婦道記』が上半期の直木賞に推されたが受賞を固辞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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JADE
14
学生時代に読んだ開高健のエッセイに「“山周”はおもしろい」という一文があり、当時、山本周五郎にハマっていたこともあり、今も印象に残っている。岡場所で生きるしかない女たちの、悲しく、切なく、それでも美しい8篇。解説の一文を引用させていただく。「騙され、裏切られ、本当を語れば嗤われる世間を、それでもどこかで、人を信じて生きたいと思っているのである。この場所で生きているからこそ、その思いはいっそう哀切にひびく。」久しぶりに読んだ“山周”は、やっぱりおもしろくて、しんみりさせられて、ほんとに巧いなぁと思った。☆42025/11/19
アヴィ
0
山本周五郎人情物作品では要所要所に遊女が登場する。江戸の遊女は吉原だけでなく幕府非公認の岡場所が最盛期には、品川や深川など200以上あったという。そんな岡場所の遊女や、そこに通う男達の悲哀を描いた短編集。美しく着飾りありんすことばを流暢に使いこなし、とんでもない料金や面倒な仕来りが必要な吉原の太夫や花魁に対して、岡場所の夜鷹はどこか哀しく、後ろに生活を感じさせる。男に騙されたり、騙したり。客の男も上手く騙して欲しいとそこに行く。馬鹿な男と遊女の純情が悲喜劇を生む。やはり山本周五郎は面白い。2025/12/06
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