内容説明
「反侵略」の立場から侵攻を相対化する議論を批判し、歴史的主体としてのウクライナを考え、二重基準を超えた「世界的公共性」への途を探る。
目次
第1章 「ウクライナ戦争」とはどのような出来事か
第2章 「ロシア擁護論」批判1―それは大国主義である
第3章 「ロシア擁護論」批判2―それは民族蔑視である
第4章 「ロシア擁護論」批判3―それは「平和主義」の傲慢である
第5章 「ロシア擁護論」批判4―それはどこから来たのか
第6章 ロシア擁護論は「2014年」をどう語っているのか(1)
第7章 ロシア擁護論は「2014年」をどう語っているのか(2)
第8章 「マイダン革命」をウクライナ人自身はどう見ているのか
第9章 ウクライナ・ナショナリズムは「危険」なのか
終章 「ウクライナの発見」と世界の行方
著者等紹介
加藤直樹[カトウナオキ]
1967年東京都生まれ。出版社勤務を経てフリーランスに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Nobuko Hashimoto
26
ロシアによる2022年のウクライナ全面侵攻をめぐって、左派系活動家や護憲・平和を標榜する人たちがロシアを擁護する言説を展開することにショックを受けた著者は、2年かけてウクライナに関する研究書や論文を読み漁り、それらの言説の錯誤、偏見、驕りを分析し反論する本書を出した。たいへん興味深く読んだ。ところで、著者が書いているわけではないが、露やウ界隈の研究者の世界では、世代間でこの問題への態度の違いがあるようにも感じるがどうだろう。2024/06/18
章魚 たこ
3
ロシアのウクライナ侵略を、ロシアを擁護する日本人(だけでないが)らの言説を論破するとてもていねいな作業による本書。進歩人・左翼・活動家のなかにロシアを擁護する人間がいたことを知らなかったわが無知を恥じる。2024/08/31
ファルコファン
2
ロシアのウクライナ侵略に対する市民運動側の意見に違和感を感じていた。例えばマイダン革命は欧米のヤラセ、ロシア擁護論。この本を読んで、納得した訳ではないがヒントはもらった。 作者は「私の立場は『反侵略』」。当事者ウクライナの立場から様々な資料を読み解く。 民族自決、抵抗権、脱植民地主義がキーワード。フリーガザの若者たちに希望を見いだし、世界的な公共性への止揚を提案。『パレスチナの人びとに連帯を表明するウクライナからの書簡』を紹介。ナガサキ平和祈念式典にG7の大使が欠席した翌日に読了。2024/08/10
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