内容説明
仏教、日本の祭礼をモチーフに描いてきた水墨画家・傅益瑤。初の作品エッセー集。
目次
1章 中国で過ごした日々(文の重み;母からの教え;周総理の願い;嵐が与えてくれたもの)
2章 留学生として日本へ(第二の人生のスタート;富士を描く;水墨画と日本画;線の賛歌;水墨画ルネサンス)
3章 水墨画の可能性を拓く(神々との戯れ;誓願の力;仏教東漸図;円仁入唐求法巡礼図;慈悲の雨;迷いと悟り;円熟の美)
著者等紹介
傅益瑤[フエキヨウ]
水墨画家。1947年、中国江蘇省南京市に、中国画壇の巨匠・傅抱石の第五子として生まれる。79年、中国教育部派遣の国費留学第一期生として来日、創価大学で日本語を学ぶ。81年、武蔵野美術大学大学院で塩出英雄氏に師事。83年、東京藝術大学平山郁夫研究室に入り、研究生として敦煌壁画の研究と日本画を学ぶ。ニューヨークの国連本部や中国美術館をはじめ、国内外で個展を開催してきた。NHK Eテレ「趣味百科」の講師のほか、NHK「日曜美術館」で三度取り上げられた。長年の国際的活動がたたえられ、中国国務院から「第五回中華之光賞」、日本政府からは令和三年度「文化庁長官表彰」が授与されている。今後、シカゴ美術館などでも個展が予定されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
47
サイズはコンパクトだが、収録されている水墨画はどれもエネルギッシュ。文化革命後に作者が受けた嘲りを読むと、水墨画の大家であった彼女の父親や他の芸術家たちも文化を圧し潰そうとする理不尽な時代を耐え忍んできた事に思いを馳せ、胸を痛ませた。だが、日本への留学が彼女の画家としての人生を大きく、変える事になる。日本への祭りや文化に触れた彼女の水墨画はより一層、精密で勇壮になっていくのだ。それは父親に似た画風からの脱却をも意味したが、それを経ての改めての敬意が素敵。今なお、精力的な彼女の水墨画には圧倒させられます。2024/04/08
ふう
24
図書館新刊の棚より。水墨画の世界を舞台にした作品を読んだ縁でなんとなく手に取ったのだが、カバーに使われた絵も、諏訪大社御柱祭や雄壮野馬追の祭りの絵も、延暦寺や三千院に納められた絵も、みなぎるパワーと細密さに驚かされる。舒林寺の梅樹図、カメイ美術館蔵の「五月雨の降りのこしてや光堂」は見てみたい。2024/09/12