内容説明
私生活の公表をかたくなに拒否し続け、これまで伝記はないとされてきた“世紀のバイオリニスト”の生涯を描く唯一の伝記。待望の初訳。
目次
プロローグ 間奏曲
第1章 ビルナ―第一弦
第2章 ペテルスブルグ―巨匠の演奏ぶり
第3章 ニューヨーク・デビュー
第4章 アメリカ―ミルクと蜂蜜の地
第5章 ステージ・イメージ―事実と虚構
第6章 ファンタジー・ランドの幕間
第7章 戦争
第8章 カリフォルニア―仕事と休暇
第9章 音楽的な談話―熟練
第10章 個人的談話―奥議
第11章 ロス・アンジェルス―最後の弦
終章 間奏曲
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sankichineko
16
バイオリンの王、ハイフェッツ。私生活をほとんど語らなかった彼の生涯を一冊にまとめた貴重な本。おそらく情報が少ないためと思われるが、やや散漫な印象なのが惜しいです。クールでスタイリッシュな演奏の影に、不器用でこだわりの強い彼の性格が垣間見えて、きっと生き辛かったんだろうなと感じます。彼は初めて完璧さをバイオリンの演奏に持ち込み、一気に20世紀へと引き上げた。ちょうど伊藤みどりが、女子フィギュアを21世紀に導いたように。現在、総合的な能力ではハイフェッツ、みどりさんを超える人はいても、その魅力は永遠です。2015/05/02
Kei
2
古本では英語の原書も値段が高くて手に入れられず、もう読めないかと思っていたのですが、市立図書館の倉庫にあることを知って歓喜して借りてきた!なんといってもハイフェッツは私にとっても「神」ですからっ!!頑なに一生涯私生活を公にしなかった彼らしく、ゴシップネタの寄せ集めや暴露本の類ではありません。その分面白い。アウアーの教授法、彼のストラッドとガリネリの話、奏法の歴史的位置づけ、録音の音楽評、etc。なにせ謎多いハイフェッツ。吉田秀和氏の遺稿でも触れられたGod's Fiddlerと共に、ありがたい内容でした。2012/11/04