出版社内容情報
三浦綾子は従来キリスト教作家と見做されてきた。
しかし、本書では、三浦綾子の作品を北海道文学の原型(暴力性、犠牲性、相克性、抵抗性)を示すものとして再解釈し、従来の宗教作家として「のみ」の側面を批判する。
本書は、前著『桜木紫乃の肖像――北海共和国とクシロの人びと』及び『原田康子の挽歌――北海国の終焉』に続く北海道文学批評全三部作を構成するものである。
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〈三浦綾子文学の真の神はキリストではなく、北海道ではないだろうか。三浦綾子の「花園」は、白痴性、純真性、衝動性、原始性といった北海道の風土性を土壌にし、反内地性、反国家性、反天皇性、反伝統性の香りを強く放ちながら、暴力性、犠牲性、相克性、抵抗性の色彩で満ち溢れている。北海道の風土性こそ三浦綾子の真の神であろう。〉
【目次】