内容説明
フランクリン・ルーズベルト政権におけるファーストレディーのエレノア・ルーズベルトは、人種差別撤廃や人権擁護の活動に力を尽くした。1942年2月19日に発令された日系人強制収容の大統領令に同調することなく、自ら日系人収容所を慰問している。第二次大戦後、エレノア・ルーズベルトは国連人権委員会の初代委員長を務め、彼女がリベラルアメリカの象徴と呼ばれる所以となった。真珠湾攻撃の約7ヵ月前の1941年5月、フランクリン・ルーズベルト大統領は、国土安全保障省の前身となる市民防衛局を設立し、ニューヨーク市長のフィオレロ・ラガーディアを局長、ファーストレディーのエレノアを副局長に据えた。これは、外国の攻撃から国民の生命と財産を守るために政府が設けた、20世紀初の連邦機関であった。本書は、迫りくるファシズムの脅威に対し、無防備だった1930年代後半の米国が、どのように備え、対処したのかを詳細に記録し、考察するものである。ヘンリー・アダムス賞(2017年)受賞作品。
目次
プロローグ
第一章 世界の最終戦争
第二章 条約や協定、象徴や人間性の無視
第三章 二つの局面
第四章 本土防衛の問題点
第五章 アメリカの計画
第六章 ロンドン大空襲
第七章 燃え広がる狂気の炎
第八章 全身全霊をかけて
第九章 我々全員がセントラルパークに逃げ込めるわけではない
第十章 人々は安全を保障されなければならない
第十一章 エレノアが批判のまとに
第十二章 リベラルの軍事化への道
第十三章 FDRの死、そして市民防衛局の終焉
エピローグ
著者等紹介
ダレック,マシュー[ダレック,マシュー] [Dallek,Matthew]
米国の政治史家で、ジョージ・ワシントン大学の政治経営学教授。『DEFENSELESS UNDER THE NIGHT』(2016年)は、連邦政府からヘンリー・アダムス賞(2017年)を受賞した。著者の政治、歴史、公務に関する記事や評論は、ワシントン・ポストをはじめ数多くの学術的出版物などに掲載され、またNPRやCNNなどのコメンテーターも務めている
座本勝之[ザモトカツユキ]
1944年、東京生まれ。航空会社在籍中の1993年、ニューヨーク勤務を機に翻訳を始めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。