内容説明
その人を形づくるものは何か。絵画、写真、彫像、人形、そしてヒューマノイドという、新旧さまざまな媒体を「ポートレート」という枠組みによって連鎖させ、それらの出現を契機に、境界を越えて複数化していくキャラクターの自己を、「ヒトとモノ」「自己と他者」「現実と虚構」「生と死」を鍵に英語圏小説を通して俯瞰する。
目次
序章 ポートレート、そして流動する「自己」
第1章 生命を得る肖像画―オスカー・ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』(一八九一)
第2章 「フェイクの証」の図版写真―ヴァージニア・ウルフ『オーランドー―ある伝記』(一九二八)
第3章 抽象を目指す彫像―アガサ・クリスティ『ホロー荘の殺人』(一九四六)
第4章 中間存在としての人形―シリ・ハストヴェット『リリー・ダールの魅惑』(一九九六)
第5章 「私」になるヒューマノイド―カズオ・イシグロ『クララとお日さま』(二〇二一)
あとがき 生と死のあわいのポートレート
著者等紹介
松宮園子[マツミヤソノコ]
1971年生まれ。京都大学大学院文学研究科英語学英米文学専修博士後期課程研究指導認定退学。2002年京都大学より博士(文学)号取得。専門は20世紀から現代に至る英米文学・文化。現在、関西学院大学社会学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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