感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
111
戦後出版界では低俗なカストリ雑誌が大発生したが、混乱期だからこそ人生の指針を探す読者も存在した。しかも高尚な文学は難しいが、大衆向けよりランクアップした読み応えある作品を求めた。それをいち早く察知した出版社は「中間小説」と名付け、雑誌で新人にどんどん書かせた。この状況に最も適応したのが年に10作も長編を書けた松本清張であり、また吉行淳之介や遠藤周作は依頼のあった雑誌のレベルに応じて書き分け中間小説誌にも盛んに発表した。時代の求める小説を書ける能力のある流行作家が、中間小説という形で出版文化を規定したのだ。2024/08/23
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