内容説明
驚天動地の恐るべき表現、技巧、想像力！論文に秘められた知をひもとく格好の水先案内「研究のバックヤード」収録。写真で魅せる和本のグラフ誌。設立七〇周年記念出版。
目次
第１部 ビブリオグラフ和本（外ノ巻；内ノ巻）
第２部 研究のバックヤード（古井戸秀夫氏に聞く；延広真治氏に聞く；深沢眞二氏に聞く；揖斐高氏に聞く；篠原進氏に聞く；久保田啓一氏に聞く；原道生氏に聞く）
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
266
日本近世文学会70周年記念出版。本書は、この学会がこれまで行ってきた活動の一つである「和本リテラシー」の一環として生まれた「ビブリオグラフ和本」を中心に編集されたもの。和本は地味と言えば地味だが、独特の味わいもある。ここでは文字、挿絵、版木、刷りと多角的に、しかもビジュアルに和本の面白さ、楽しみを開陳していく。中には日本で最初の太陽系図『遠西観象図説』など貴重で興味深いものも。全体には、もう少し華やかでもいいと思うのだが、学会の編集なので硬さが取れ切らないか。2024/04/03
ままこ
69
和本に魅入られた人たちが作ったマニアック本。漆黒に輝く黄金の本や元祖“鈍器本”は驚く分厚さ。シュールで愉快な絵本などなど。江戸時代の風情を色濃く感じられる図譜。2024/01/24
毒兎真暗ミサ【副長】
26
なんて素晴しい。江戸の背景を図譜で読み取る分析本。始まりは『源氏物語蒔絵箱』から輝き、厚み、彩り、仕掛けていく。紙面に踊る風。伊勢物語の分析。浮世絵解体新書。真似んで学ぶ、心に響くコペルニクスの卵たち。『遠西観測図説』『刻白爾（こっぺる）天文図解』など江戸を流れた流星群はくずし文字として走り去る。墨がなければコヨリを撚って書けばいい。先人のアウトプットは食より重要。その世界に浸りたい。うつくしき、艶めきよ。2024/05/02
Tomonori Yonezawa
7
市立Lib▼2023.10/28 㐧1版1刷▼2部175頁、ビブリオグラフ(造語)和本、研究のバックヤード▼一部は写真メインの和本のグラフ誌。とても面白く「解体新書」の漢方版の絵とか最高だ。▼二部は研究者が研究者にインタビューしたものをレポート、という体裁の作り。俳句と井原西鶴のやつは興味もあったので面白く読んだが、論文くずれといった感じで、制作側の狙いだった「論文不慣れな一般の人にもたくさん読んでもらいたい」が成功してるとは思えない。2024/02/10
noko
6
江戸の本を研究している会が出している。みんなも江戸の本沼にハマって貰いたいらしい。まずは視覚からのアプローチで輝く本や、思わずジャケ買いしてしまう美しい本の紹介。手のひらに乗る特小本は、現代にも通じる可愛らしさがある。本の持ち主が自分の本だという印の印影も独創性があった。綺麗な明朝の〜家文庫とあったり、中国人に見える絵付き印もあった。仕掛け本も江戸時代からあって、美人の絵の紙をめくると、下から骸骨がいるという仏教的無常を伝える本など。江戸の絵本には謎の生物がしばしば登場するそう。それは現代も変わらず。2024/03/13
