内容説明
「侮蔑的対中姿勢」を捨て、真の相互理解・協調へ。明治維新、西欧化、近代化、日清戦争への勝利。百年以上前の歴史的優越の幻想を日本人はいつまで引きずっていくのか…
目次
序章 なぜ「中国論」を論じるのか
第2章 大正デモクラシー中国論の前提としての明治中国論
第3章 大正デモクラシー中国論への展開
第4章 『北京週報』を取り巻く人々
第5章 清水安三は変節したか―「北京の聖者」としての限界
第6章 満州事変を侵略と断じた吉野作造
第7章 大阪朝日新聞と大正デモクラシー
第8章 大阪朝日新聞の変節
第9章 変節をくぐり抜けた「独立自主」の人、石橋湛山
第10章 事変後、方向転換した橘樸
第11章 科学的中国論を追求した尾崎秀実
著者等紹介
高井潔司[タカイキヨシ]
神戸市生まれ。都立大泉高校、東京外国語大学中国語学科卒。1972年、読売新聞社入社、テヘラン、上海、北京特派員を歴任、論説委員を最後に1999年退職。イラン・イラク戦争、ホメイニ革命、胡耀邦失脚事件、天安門事件、〓小平死去及び中国の改革・開放政策の展開を現地で取材。2000年北海道大学大学院国際広報メディア研究科教授、2012年同大学名誉教授。同年桜美林大学リベラルアーツ学群教授。2019年退職。中国メディア研究を中心に、日中関係、現代中国を論じている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
15
大正デモクラシーの流れから、国際協調、中国・朝鮮の民族自決を支持する立場に立つ中国論やメディア報道を「大正デモクラシー中国論」と位置づけ、その展開を検証している。取り上げる人物は、清水安三、吉野作造、石橋湛山、尾崎秀実、橘樸ら。先行研究にかなり依拠している面はあるが、中国へ宣教師として派遣された清水安三の言論活動を詳細に分析しているところは本書の肝。著者は元メディア関係者ということもあって、戦前・戦時期の、新聞メディアと軍部と大衆世論の三位一体の総動員体制の構造を明らかにすることにも力点が置かれている。2025/08/07