内容説明
ウイグルの詩はその誕生から現在に至るまで、二〇〇〇年を超す長い時間を生きてきた。文字が変わろうと、詠む人の姿が変わろうと宗教が変わろうと、常にウイグル人を慰め励まし、生活を潤いのあるものにしてきた。時には彼らの心の叫びを代弁し、ウイグル民族がたどってきた歴史の証言者としての役割を果たしてきた。そして二十一世紀に入ったいま、ウイグルの詩は、過去と現在をつなぎ、未来にウイグルの魂を届けるという新たな役割を与えられ、過去にも増してその存在意義を高めている。
目次
第1章 古代
第2章 西ウイグル国(天山ウイグル国)の時代
第3章 カラハン朝の時代
第4章 古典詩の時代
第5章 現代詩への扉を開けた詩人たち
第6章 ウイグルの民俗詩コシャクの世界
著者等紹介
萩田麗子[ハギタレイコ]
1950年、熊本県生まれ。1983年、東京外国語大学大学院修士課程アジア第二言語科修了。1988‐1989年、カラチ大学(パキスタン)留学。1994‐1995年、新疆大学留学。専攻、古典詩研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
石油監査人
31
ウイグルとは中央アジアに居住するトルコ系の民族。著者はウイグル語の翻訳家で古代詩の研究家です。この本では、6世紀頃に作られた勅勒歌(ちょくろくか)に始まり、現代に至るまでの、ウイグル詩の変遷を、韻律・詩形の変化などを基準に時系列的にまとめたものです。特に芸術性に優れていると感じるのは、イスラムに改宗し、モンゴルの支配下となった12世紀以降の作品で、自由で伸びやかな表現が特徴的です。その後、漢族の支配下となると急速に輝きが失われます。中国による弾圧下で書かれた現代のウイグル詩を読むと、胸が苦しくなります。2025/04/06




