感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gorgeanalogue
13
以下、短評でもなんでもなく、数回読んで触発されたフレーズと自分から出てきた欠片の組み換え。「シンメトリーの押韻はぽろぽろ落ち」「すべてを忘れていく」「文字の輪郭を手放してほどなく、潜像に到来する忘却をただ繰り返す」ように、水面の膜に波紋を作ろうとする夜の言葉は、読むたびに雲母のように劣化し、かさこそと剥がれ落ちていく。その意味では、本書は詩の不可能性をめぐっているともいえ、その言葉が何を指し示そうとしていたのかを読み直そうとしても、「符牒と読み換えて、一つ一つ、丁寧に誤っていく」と突き放される。2022/01/28