内容説明
統一国家「イタリア」を樹立した立役者の軌跡。イタリア建国の三傑として英雄ガリバルディ、革命家マッツィーニと並び称される首相カヴール。目的実現のためには手段を選ばず、権謀術策を弄し、巧みな外交術を駆使して国民国家「イタリア」を誕生へと導いた天才的な政治家の軌跡をたどる。
目次
三人のアクターが演じたイタリア統一
幼年時代
士官学校時代
青年将校時代
農業経営者の時代
実業家の時代
ジャーナリスト時代
政治家カヴールの誕生
「大内閣」の成立
内政から外交へ
オーストリアとの戦争
イタリア統一へ
カヴールにとってのイタリア統一
イタリアは成った
著者等紹介
藤澤房俊[フジサワフサトシ]
1943年東京に生まれる。早稲田大学大学院博士課程修了。文学博士。東京経済大学名誉教授。著書に『赤シャツの英雄ガリバルディ』(洋泉社、マルコ・ポーロ賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゲオルギオ・ハーン
23
『イタリア統一三傑』の一人、カヴールについてまとめた一冊。少ない頁数で無駄なく書かれていてとても読みやすく、カヴールのことを知ることができた。見方によっては謀略家なのかもしれないが、複数の大臣ポストを兼任したことや政略の柔軟性を読むと実務家としても大変優秀という稀有な人物だったように読めた。自信家かつカッとなる一面があり、国王相手にも「くたばれ」「お前じゃなくて俺が王だ」と悪態をつく人間的な一面があって面白い。『獲物を狙う猫』のような人物という可愛い人物評になんかギャップを感じてさらに面白い。2022/08/29
カシュウ
1
カミッロ・カヴールの伝記です。この本はコンパクトでわかりやすい内容で、参考資料が明示されていて、引用の箇所もわかりやすく表示してある良い本です。イタリアの歴史の本のイメージでは、時代の流れに合わせた柔軟なかじ取りでイタリアを統一に導いた人物。というのが読む前の印象でしたが、読後は困難な状況にある小国を極めて類まれな政治力で導いた有能な政治家であると同時に、相当にクセの強い強烈な人物だなぁという印象を抱きました。2021/08/19
jntdsn13
0
リソルジメントの立役者に関する貴重な伝記。イタリア文化より英仏文化に馴染みがある、強烈な自信家で自由主義者のピエモンテ人(統一と言ってもロンバルディア位迄しか意識になかった)がイタリア統一を成し遂げるというのは、なんという運命のいたずらであろうか。しかも、政界進出から4年で首相に上り詰め、国王に滅茶苦茶嫌われ、プレイヤーですらなかった外交において粘り強く統一の糸口を引き寄せ、ガリバルディに押されながらも彼を利用しつつ最後に制す……なろう系なんて目ではない空前絶後の人物である。ぜひ著者の別著と読んでほしい。2021/10/22