出版社内容情報
こうの史代、珠玉の短編集がついに発売!
あの名曲を漫画化した「小さな恋のうた」、核分裂を発見した女性科学者リーゼ・マイトナーの人生を描いた「リーゼと原始の森」など胸を打つ短編が満載。肘山さんの日常に癒やされる「ヒジヤマさん」シリーズも収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
天の川
55
やっぱりこうの史代の描くものが好きだ。何といっても『描く人へ』の「孤独の淵はどこにでもある。あなたはこの淵に立つ誰かに寄り添う者になるのよ」と少女がノートの中の描く人にかける言葉が、こうのさんの使命とするところなのだろう。最後の一コマの少女のノートの落書きが高田さんの『星の教室』と繋がる。核分裂を発見したユダヤ人物理学者リーゼ・マイトナーを描く『リーゼと原子の森』はズシリと重く、遠距離恋愛の『小さな恋のうた』はとても切ない。不器用で一生懸命なヒジヤマさんシリーズは大好き♡今年、こうの史代展が巡回♪嬉しい。2025/05/15
ムッネニーク
48
48冊目『ヒジヤマさん 星の音 森のうた こうの史代短編集』(こうの史代 著、2025年5月、コアミックス) 2006年〜2025年にかけて発表された作品を編纂した短編集。 軽いタッチのコメディから核分裂を発見した物理学者リーゼ・マイトナーに題を取った伝記もの、さらには著者のルーツが垣間見える自伝的な作品まで幅広いジャンルの短編が並ぶ。 漫画だからこそ出来る表現を巧みに操る著者の技巧に唸る。 〈それはわたし達が 本来あるべき 「善い人間」に まだ達して いないせいよ〉2025/06/07
ぐうぐう
23
最新短編も収録されているが、古くは2006年の作品もあるので、ほぼ20年間にあちこちで発表された短編で編まれた最新刊だ。それぞれがこうの史代らしいのだが、こうの史代らしいということは、油断がならないということでもある。団地を舞台とした「星のふる里」は、昔を振り返る構成を持ちながらも、意外な場所に意外なエピソードのコマが配置されるという大胆な試み。意外なコマ割りと言えば、サイレント漫画である「ヒジヤマさんシリーズ」は、サイレントであるからこそコマ割りでストーリーを躍動させようとしていて、(つづく)2025/05/31
マッピー
22
遠距離恋愛の切なさとホロホロした脆さ…安定のこうの史代だなと、『小さな恋のうた』を読んで思ったのに、次の『星のふる里』の最後の3コマですべてをひっくり返され、さらに次はこうの史代が描く巨大ロボット物⁉引き出しの多さに驚愕する。核分裂を発見した女性科学者を描いた『リーゼと原子の森』は、長編でもう一度描いてほしい。一見クールビューティーなのに、一生懸命なわりに不器用すぎて、涙もろくて愛すべきヒジヤマさんのシリーズも好き。「孤独の淵はどこにでもある。あなたはこの淵に立つ誰かに寄りそう者になるのよ」作者のテーマ。2025/04/30
しましまこ
16
幸せかと思えば切なかったり、エモいと読んでたらなんじゃコリャと笑っちゃったり、色々予想外な短編集、お気に入り。2025/05/23