出版社内容情報
妻に先立たれた参平に残されたのは妻・おつうが認めた一冊のノートだった。参平はそのノート「奥田家の記録」を片手に、主夫として第二の人生をスタートさせる。妻の記録と思い出が、息子夫婦とかわいい(?)孫との同居を時に切なく、時に愉快にしてくれる。日常作品の決定版!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ムッネニーク
77
47冊目『さんさん録 新装版』(こうの史代 著、2022年7月、コアミックス) 妻に先立たれた老人、参平が息子夫婦の主夫としてセカンドキャリアを歩み出すという物語。 こうの史代作品ではお馴染みの、コミカルなキャラクターとビターな恋愛関係は本作でも健在。 孫の女の子を可愛く描かないところに、こうの史代先生のシニカルな姿勢が窺える。 家事のテクニックも数多く紹介されており、実用性もあるお得な漫画である。 「ばかな 参平さん 鶴子さんがいつも あなただけについててくれると思うの?」 2022/06/22
ムーミン2号
5
奥さんに先立たれた参平というじいさん(孫がそう呼ぶ)が、息子宅に厄介になり、「主夫」宣言をして、奥さんが残してくれた生活豆知識満載の記録を頼りに奮闘する日々を描く。こちらが柱の一つで、もう一つは、仙川という人材派遣会社の女性と参平とが少しずつ信頼しあったかと思えばちょっと反発しあいながら、距離を縮めていく、というもの。参平さんと同世代のワタシは、後者の方が面白くも気になって仕方なかった。映像化しても面白そうだと思うのだが、未だにそうなっていないのは、映像化には向かないということなのだろうか?2022/07/11
ごま麦茶
3
文喫にて。『この世界の片隅に』のこうの史代先生の本。奥さんに先立たれて、息子家族と暮らす参さん。こうのさんって感じで、ほっこりする日常に、不穏というかドキドキというかな仙川さんが入ってきて、仙川さんと参さんの関係にそわそわ。家事の仕方も載っていてお勉強になりました(笑)こうのさんの本、やはり好きです。2024/02/10
いくえ
1
一番自信のない作品、とこうのさんはおっしゃるけど、わたしはこうのさんの作品の中で一番好きかもしれない。「この世界の片隅に」と迷う。一生迷える。 わたしは旦那さんが10歳年上やから自分の方が長生きすると思ってるけど、いつ事故や病気で先に死んでしまうか分からん。分からんのにこんな風に記録を残していたおつうさんはすごい。どんな思いで書き残していたのか聞いてみたい。 なんでもない日々を大事にしていたことが分かるから、わたしもそうでありたいと読むたびに思う。2022/08/10
kan143
0
妻に先立たれ、息子家族と同居し始めた男が、妻の残した家事ノート見ながらあれこれやったり、周囲の人間との関係性を作り変えて行ったりを淡々とした筆致で。 仙川さん、いいなあ2023/08/18