出版社内容情報
~はじめに~
「主体的・対話的で深い学び」を目指すチャレンジが始まって数年が経ちました。
これまで日本の学校教育は教師主導で先生が知識や情報を伝える説明中心のスタイルで進められてきましたが、そうしたこれまでの授業の見直しの必要性が、新しい学習指導要領に示されました。そして、その具現化を目指した現在の国語科の教科書をパラパラとめくってみると「付箋に意見を書いて整理して交流しよう」「グループで話し合って決めよう」のような、ボトムアップで進むアクティブ・ラーニング型の学習スタイルが推進されています。今は先生の説明中心の授業から活動中心の授業へ試行錯誤の時期、いわば過渡期にあたります。これまで蓄えられてきた知見と、これから進められていく授業を運用していくための新しい技とがハイブリッドされていくことが必要です。
授業がどのように変化しようとも、教室の主役は子どもたち。
学習者中心の授業を円滑に進めるためには、ファシリテーション技術が有効です。
教室というコミュニティの中で、「言葉の力」を身につけて、将来に渡って、個々の力を存分に発揮しながら他者と協同して歩む力を身につける。そう考えると、国語科の授業を効果的に進めるには、学習者である子どもたち自身が、日々の授業において、ファシリテーターであるのが合理的と言えるでしょう。先生の姿をモデルとして子どもたちは国語科におけるファシリテーションを学んでいきます。
この本では、長年、国語科教育に携わってきた石川晋とファシリテーションの普及に取り組んできたちょんせいこが、これからの学校教育の要となる「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)を育む国語科の授業の進め方を、教科の本質と向き合いながら示していきます。特に石川が長年の国語科教育で取り組んできた授業実践から、今、教育現場に届けたいものを精選し、先生や子どもたちがファシリテーション技術を身につけることでより授業を楽しく学べる方法を紹介しています。紙幅の関係もあり、実践例は現場の多くの先生が困難を感じている読むこと領域を中心にまとめました。また、ICT活用の手がかりについては、スペシャルゲストの蓑手章吾さんとの鼎談の形で提案させていただきました。
本書は、先生としての経験年数が浅い「教師初学者」にも、わかりやすいものになるように努めて書いています。既知の内容も多いかもしれません。紹介する内容に紐づく文献なども注釈としてつけてここから先の学びに役立てられるようにしました。ぜひ、あたってください。
石川晋、ちょんせいこ
内容説明
「これからの授業」をクリエイトする技術。ファシリテーションと国語の相関関係。インストラクション(指示・説明)→話す力。クエスチョン(質問・問い立て)→聞く力・質問力・発問力。アセスメント(分析・評価・翻訳)→読む力。グラフィック(可視化)&ソニフィケーション(可聴化)→意見の見える化・聞こえる化。フォーメーション(隊形)→グループ編成・学ぶ場所など。プログラムデザイン(設計)→授業ごとや単元の授業案・教育課程など。
目次
第1章 協同的・協働的な授業を始める前に
第2章 国語科におけるファシリテーション
第3章 国語科の「授業びらき」をしよう
第4章 協同的・協働的な学習のスタート 作品理解は、十分な音読の先にある
第5章 鼎談「国語ファシリテーションとICT教育」
第6章 読みを協同的・協働的に深める
第7章 読みを深める体験ベースの活動とカリキュラムデザイン
第8章 対話による協同的・協働的な活動と書くことをつなげる
第9章 協同的・協働的な授業を振り返るために
著者等紹介
石川晋[イシカワシン]
NPO法人授業づくりネットワーク理事長。公立小学校国語科専科、「ばん走者」。1989年より北海道中学校教員となる。以降、オホーツク、旭川、十勝、上士幌町の中学校を歴任。2013年3月より学生時代から参加していたNPO法人授業づくりネットワークの理事長に就任。2017年度、公立中学校を早期退職。以後、「ばん走者」として全国の小・中学校に入り授業を年間200時間程度実施。先生方と授業づくりや研修会づくりを行う
ちょんせいこ[チョンセイコ]
株式会社ひとまち代表取締役、ファシリテーター。特定非営利活動法人日本ファシリテーション協会フェロー。2003年にホワイトボード・ミーティングを開発し、ビジネス、教育、医療、福祉、行政、ボランティアなど多様な領域でファシリテーションの普及に取り組む。教育現場では、公開授業や校内研究、研修会を通じて先生と子どもたちがファシリテーターになる信頼ベースの学級づくりを推進(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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