内容説明
本願寺書院は安土桃山時代の建築様式を代表する建造物であり、それを彩る天井画・障壁画も日本の絵画史における非常に重要な存在といえる。そこにはさまざまな花々が極めて精功に描かれており、近世日本に存在していた植物を伝える植物学的に貴重な資料でもある。近世の絵師のたしかな観察眼と表現力によって描かれた植物をあますところなく紹介。
目次
雀の間(アサガオ;ウメ ほか)
北狭屋の間、西狭屋の間(アサガオ;アジサイ ほか)
本願寺に咲く花(ウメ・ゴヨウマツ・ナツツバキ;ゴヨウマツ・フヨウ・イロハカエデ ほか)
境内に咲く花(イチョウ;ソテツ ほか)
著者等紹介
米澤信道[ヨネザワノブミチ]
元京都産業大学理学部非常勤講師。京都産業大学附属高校理科教諭/生物部顧問。京都御苑タシロラン保護監視員代表。日本生態学会会員、日本昆虫学会会員、日本昆虫分類学会会員、日本植物分類学会会員、植物地理・分類学会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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belle
3
京都は本願寺の国宝「書院」を訪れたのは過去2回。往復はがきで拝観申込みをした。もうだいぶ前のこと。本書はそこに描かれた植物を同定し、絵師たちの仕事ぶりに筆は及ぶ。木の花、草の花。馴染みのあるもの、珍しいもの。雀の間のひとつひとつ仕切られた格天井の花卉図は特に見事なものだ。豪華絢爛と写実の組合せ。各地の寺社を訪れて天井に花が描かれていると首が痛くなるのも構わず見入ってしまう。日々の散歩で見かけた花が描かれているかなと探すのも楽しかった。境内の植物も末尾に紹介がある。新年は久しぶりに大王松を生けてみよう。2020/12/19