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内容説明
「誰でもなれる」「最底辺の職業」と警備員自身が自嘲する交通誘導員の実態を、悲哀と笑いで描き出すドキュメント、警備員の生活と意見。
目次
第1章 交通誘導員の多難な日常(トイレ掃除―警備業法違反を隊員に強いる隊長の弱味;通行止―交通誘導警備員はお地蔵さまではない ほか)
第2章 交通誘導員の喜びと悲しみ、時々怒り(黄金譚―糞尿にまつわる滑稽きわまりない顛末;大失敗―サイン拒否した親方の言い分 ほか)
第3章 どうしても好きになれない人(誘導ミス―交通誘導警備員が一番恐れること;たかが挨拶―なぜ挨拶をしない人が嫌われるのか ほか)
第4章 できる警備員、できない警備員(首振り人形―2秒間隔で首を左右に振り続ければ警備員合格?;コミュニケーション能力―警備員に外国人が少ないのはなぜ? ほか)
著者等紹介
柏耕一[カシワコウイチ]
1946年生まれ。出版社勤務後、編集プロダクションを設立。出版編集・ライター業に従事していたが、数年前から某警備会社に勤務。七三歳を迎える現在も交通誘導員として日々現場に立つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
519
「ヨレヨレ」が気になって読んでみた。「当年73歳」の著者は編集プロダクションを経営していたが、負債を抱えてしまって会社整理の末、交通誘導員に。社会の”底辺の仕事”と言いながら、仕事のクールな分析と同僚や「わがままドライバー」などの人間観察が面白かった。「交通誘導員」はやたらに”誘導”をしちゃいけない! 似たような恰好はしているが警察官の”交通整理”とは違うのだ。法的拘束力はなく、相手の”任意的協力”で迂回してもらったり一時停止してもらう。理不尽さに耐えながら、仕事の面白さも表現され興味がわいた。2025/03/14
utinopoti27
215
車を走らせているとよく見かける交通誘導員。炎天下、逃げ場のないアスファルトの上で、長袖長靴にヘルメットをかぶり、ただひたすら誘導棒を振り続ける・・。本書は73歳にして現役警備員の筆者が、実体験をもとに日記形式で内情を綴るお仕事エッセイだ。『社会の底辺』に位置するというだけあって、辛さのわりには報われず、やりがいも見出しにくいのだそう。それでも続けるしかない理由は、やっぱり自業自得というべきか。好奇心はそれなりに満たされるが、この仕事が超高齢化社会の受け皿かもしれないと考えると、暗澹とした気持ちになる2021/08/14
きみたけ
210
著者は、出版編集・ライター業に従事しつつ某警備会社に勤務し、交通誘導員として日々現場に立ち続けてきた柏耕一氏。「最底辺の職業」と揶揄される警備業の実態を日記形式で浮き彫りにした一冊。交通誘導員は楽だろうとのイメージを覆す、実際の労働環境や現場状況、また職場や地域住民とのコミュニケーション力の大切さがよく分かりました。警備員に対する勘違いとして、あくまでドライバーには迂回をお願いすることしかできない事。警察官は緊急時や危険時には赤信号でもクルマを通すことはできるが、警備員にはそんな権限はないんですよね。2023/12/02
mint☆
182
普段よく目にする交通誘導員さん。炎天下や寒さの中大変そうだなとは思っていたけれど、これを読んで驚いたことが5つあった。コミュニケーション能力が必要になる為外国人が少ないこと。警備員には資格制度もあること。著者の勤めている会社では警備員の8割が70代以上だということ。警備員に理不尽なクレームをつけている人が少なからずいること。そもそも私の認識が間違っていたのですが誘導員は工事関係者だと思っていたので驚いた。ヨレヨレ日記というより愚痴日記といった感じでしょうか。大変なお仕事です。2021/01/09
kinkin
182
雨が降ろうが槍が降ろうが、雪が降っても風が吹いても日夜たいへんな仕事だと思う。もしも交通誘導員の人がいなかったら道路工事ができない訳で、にもかかわらず暴言を浴びせたり嫌がらせをする輩のなんと多いこと。この本は当年73歳の著者がその体験をもとに書かれている。編集で話は多少盛られているかもしれないものの実際ありそうな話ばかりだ。高齢社会になってもこの仕事は誰かがやらねばならない。いくらAIが発達するとはいえ臨機応変に対応できる誘導員は必ず必要になると思った。図書館本2019/12/15