出版社内容情報
世界最高峰の教育機関マサーチューセッツ工科大学(MIT)。
工科大学という名の通り、STEMを重視しているのはもちろんのこと、一方で、一見、対極にあるとも思える、人文学や音楽などの芸術科目にも力を入れている。
確かに、幅広い教養は人間の精神性を高めていくのに大切なものであるが、なぜ今、さらにそれらが重視されているのか。
現地での丁寧かつ重厚な授業の取材や担当教員のインタビューをもとにして、MITはどのような教育をし、どのような人材を育成しようとしているのか、そしてなぜ「音楽の授業」を大事にしているのか探る一冊。
内容説明
創造、多様性、情動、しくみ、読解、融合、コラボレーション…4割の学生が履修する名門校カリキュラムを書籍化!授業で使用されている曲をまとめたプレイリスト付。
目次
第1章 なぜ「科学」と「音楽」が共に学ばれているのか?
第2章 人間を知る・感じる
第3章 しくみを知る・創る
第4章 新しい関わり方を探求する
第5章 他者・他文化・他分野と融合する
第6章 MITの教育から探る、未来を生きる世代に必要なこと
第7章 「いま・ここ」と「はるか未来」を見据えて
著者等紹介
菅野恵理子[スガノエリコ]
音楽ジャーナリスト。上智大学外国語学部卒業。在学中に英ランカスター大学へ交換留学し、社会学を学ぶ。全日本ピアノ指導者協会研究会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
breguet4194q
101
MITの理念がよくわかる一冊。授業の内容が詳しく掲載され、また教授陣のインタビューもあります。目的や意図など、生の声が聞こえてきます。MITのすごいところは、その先見性。およそ、もの作りを専門にしてる人、得意としてる人は、数学や工学に長けていますが、そんな方々が芸術や人文学のスキルをアップすると、VUCAの時代としては、最強じゃないかなと思います。2022/05/30
trazom
77
MITでは全学部生4000人の内1500人が音楽科目を履修するという。その凄いカリキュラムを音楽ジャーナリストの菅野さんが詳細に紹介する。学生に「ヴィヴァルディの協奏曲にメヌエットを追加したら劇的・心理的な変化を与えるか?」「緩徐楽章は何をもたらすか?」という課題を出すほどの深い内容に感動。更に、演奏会を体験してのコンサートリポートを課し、ワールドミュージックに触れる機会も大切にする。「創造的なエンジニアにはアートや人文学での経験が必要」「音楽は多様性と普遍性を内包している」との教育的信念が伝わってくる。2020/10/25
よしたけ
50
音楽からどのように知識を得て自己研鑽をしていくかと言う内容を期待したが、MITの授業内容や教授の考え方、生徒の取り組み方、と言った点に焦点が当てられており、文中で多く紹介される曲や音楽についてのある程度予めの知識がないとついて行けない内容と感じた。教育の思想や狙いを理解することはできるが、本書から学び取って自分の学習に活かすのは難しそう。途中で断念。2022/01/10
hnzwd
18
MITで音楽の授業がー、というタイトルに惹かれて読んでみましたが、結果としてはちょっと期待したものとはズレてたかな。実際にどのように音楽を捉え、分析し、新たなアウトプットを出しているか、が知りたかった。"音楽やアートを学ぶことは理系学問のプラスになるんですよー"という論には同意なんですが。。"MIT"とあるものの、内容は技術よりではないという印象でした。2023/10/20
ぴよ子
5
こんな人たちと勉強したいなぁと思わせる一冊。音大にもこんな面白い授業なかったよ…。泣 どんな仕事に就いていたって、芸術・文化・人間そのものへの興味関心がなければ、人として面白みのある発想はきっと出てこない。頑張ろう、自分。2020/12/06