内容説明
木のない世界を想像してみてください。わたしたちの世界とよく似ていますが、空いっぱいにひろがる木の枝も、木のぼりも、風にそよぐ木の葉も、いまや遠い記憶のなかにしかありません。そんな世界に生まれたひとりの女の子、オリーブ。おそれを知らない元気いっぱいのオリーブは、ある日、ゆたかな想像力にみちびかれるまま、木が生きている世界に迷いこみます。オリーブの冒険をとおして、わたしたちは自然のすばらしさとうつくしさに気づくでしょう。
著者等紹介
ホーカー,ルーク・アダム[ホーカー,ルークアダム] [Hawker,Luke Adam]
美術家、デザイナー、イラストレーター。ノッティンガム・トレント大学でインテリア建築とデザインを学ぶ。卒業後、ロンドンでデザイナーとしての経験を積み、現在もロンドンを拠点に活動し、ペンとインクによる風景画をメインに描く。個展開催の他、2019年ロンドン・デザイン・フェスティバルなど多数の展示会に出展。近年SNSで膨大なフォロワーを獲得しており、今やその数は30万人以上にもなる
八木恭子[ヤギキョウコ]
大学卒業後、会社勤めを経て翻訳を学びはじめる。訳書に『ショッキングピンク・ショック!伝説のファッションデザイナー エルザ・スキャパレリの物語(産経児童出版文化賞翻訳作品賞受賞)』(フレーベル館)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒラP@ehon.gohon
8
【再読】大人のための絵本2024/05/26
けいねこ
6
なぜ、その世界で木が失われてしまったのかが語られることはない。終末の世界かと思うと、そこまでではないけれど、木は失われてしまった世界。オリーブという名の少女が木から得られる安らぎを知り、気を蘇らせることに尽力するらしい。美しくはあるし、感じ取るもののある読み手もいるだろうけれど、私の読みたいものとは、ちょっと違った。2024/03/03
クドアンヌ
3
歩いていて、疲れたなぁ…と思ったら街路樹や店先に飾られている花や人家の植木などを少し立ち止まってじっと見る。そうして疲れが少し和らいだらまた歩き出す。そういう風にしていつも歩いている。もしどこにも草も花も木もなければ私はきっと歩いていけないだろう。2024/04/13
四葉
2
タイトルと表紙の絵に惹かれて。世界中の木が全て無くなってしまった世界なんて想像したこともなかった。素敵な建物や電車の走る街並みだが、木がない風景はそれだけで異世界のようだ。自然と切り離された、人間によって制御された世界は安全で安心。でもさまざまな激しい気候のなかで大樹の窪みで雨宿りをしたり、野生動物と心を通わせる瞬間の心の豊かさみたいなものは、制御できないからこそ得られるんだよなと思ったり。木に感謝。紙の質感も他の絵本とは違ってもさもさとしていて、ページをめくるたびに木の存在を感じられるのも良かった。2024/07/04
たくさん
1
緻密で鋭く繊細な線の画。オリーブの心細さと世界の無機質さみたいなものもまるで一人の世界にいているよう。お父さんに安心というのも相対的にという感じの本当の安心っぽくは感じにくい感じに私は思えた。木というものとそれが持っている付随した歴史やその情景を感じ取る力想像力をオリーブが持っている。そうなればもっと大きくなって孤独から解放されるべき時に活かせるものであればいいなあと願わされる本でした。 2024/02/29