内容説明
平民出身から“最も偉大な政治家”に成り上がった男・キケロの禁断の人心掌握術
目次
プロローグ 古代ローマの選挙(ローマで政治家になるための、長く細い道;階級格差、賄賂の蔓延…ローマの選挙の実態)
第1巻 「自分」を知る(自分の強みを知る;味方を見きわめる ほか)
第2巻 「友人」を増やす(自分に好意を示してくれる人すべてが「友人」;身近な人ほど、絶対にないがしろにしてはいけない ほか)
第3巻 「隠れた敵」をかわす(敵にさえ博愛精神を示せ;2人のライバル ほか)
第4巻 「一般大衆」を味方にする(お世辞を言うことを恥じるな;次の日も、また次の日も、彼らと話すこと ほか)
選挙の結果
日本語版解説 2000年前から変わらぬ人間の心理
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かわうそ
28
★★★★☆結局、2000年前から政治家になるための本質というのは変わらない。「できないことも約束してしまえ」つまり、これは政治家が言った約束は信用してはいけないということになる。というか掲げるマニフェストを完璧に達成した政党など存在しないことからも政治家の約束が全く建前であることが分かる。政治家にとって守るべき約束は自分にとって利益があるものに限るに決まっているからである。いっぽうで選ばれる方法として利益、希望、個人的つながりを意識しろということ。人に希望を持たせることが何よりも大切だ。2021/11/20
小鈴
25
面白かった。2000年前から選挙って変わらないじゃん。投票者にはなんでも約束してしまえ、できないことであっても正直にできないと言うな、とかね(笑)。安倍晋三と菅義偉の違いもみえてきたり。後腐れのない「ノー」の言い方。これが菅義偉に足りなかった。あっさりノーと言ってしまっては大衆の心を掴めない。ノーと言っているのかどうかわからない煙に巻く話し方ができた安倍晋三(本人も何言ってるかわかってなさそうだけど)。安倍晋三の詐術の力に完敗です。政治家になるには、良心の苛責なくバカをやりきれる力が必要だなって思った。2021/10/30
tori
8
選挙やミスコンなど一定の地位につくような、「不特定多数の人に選んでもらうため」の手練手管を説いた本。日常生活で応用するには忍びない技巧もあります。そのような境遇に身を置いていない大多数の人は、真正面からではなく、角度を変えて読みとく必要があると感じました。2021/10/25
バルジ
3
2000年以上前のキケロ(弟)が兄に指南した選挙運動の「極意」を伝える小冊子。ラテン語から英語、日本語へ訳しているため少々訳文の正確性には不安を抱きながら読み終える。本書は時と場所を選ばない人間関係の深奥を余すことなく描き出す。人との接し方、関係性の作り方は共和政ローマも現代日本も変わらない。しかし更に面白いのはマキャベリズムと見紛うばかりの率直な主張である。「とにかく約束しろ」「誰にでもいい香りをしろ」というのはキケロ(兄)が執政官へ就くためなら手段を選ばない。目的は手段を正当化するのである。2024/12/01
sakamocchihappy
3
古代ローマ時代において後に「祖国の父」と言われるマルクスが選挙に挑む際、弟が送ったアドバイスの手紙。現代の政治家が同じ手口で選挙運動をしていることから、彼らがどういう思惑で活動しているのかが理解できた。一方、この手口は対人関係の円滑化としても有用だ。本書の中で一貫しているのは、▽相手との接点(対話)を増やすこと▽相手を喜ばせること(利益、感謝、お世辞等)▽相手の気分を害さないこと(原則NOと言わない、どんな約束でもする)。巻末の現代の心理学者の解説と合わせ、自分が望む相手から選ばれる方法として参考になる。2021/09/05