内容説明
時代劇とフェミニズム!?「啖呵」を武器にホモソな社会と闘った「あねご」たち。日本のお家芸「異性装」、近松作品の「シスターフッド文化」など、時代劇、やくざ映画を、史実と、フェミニズム視点で読み解く。
目次
前口上 ホモソーシャルな社会を生き抜いた日本の強くてヤバイ女たち
1章 江戸っ子が好んだ粋な姐さんスタイル
2章 幕末・明治を生きた姐御たち
3章 男女逆転劇と女伊達のスターたち
4章 近代化と肝っ玉姐さん―任侠映画の女性たち
5章 性の越境とシスターフッド
姐御たちのゆくえ―おわりに
著者等紹介
伊藤春奈[イトウハルナ]
立命館大学産業社会学部を卒業後、出版社、編集プロダクションに勤務。雑誌やムック、書籍などの編集を担当する。2006年より、フリーランスの編集者・ライターに。幕末史や女性史を中心テーマに活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小鈴
28
サブタイの「教科書が教えない」がポイント。男性社会と戦う富裕層の高学歴女性達、青踏社のような婦人活動家ではない人達に焦点をあてた本。女侠客や芸者たちの姉御達を紹介している。最も興味深いのはシルクハットの女親分のイト。今で言うところのトランスジェンダーで写真が残っているが短髪で紋付袴。大正時代にこんな人がいたとは。結婚して子を生むが離婚。鉄工所のあらくれものの肉体労働者をまとめあげ起業、財をなし、今でも残る幼稚園、高校を設立する!すごいっ!最後は美しい女性に看取られる。朝ドラ化希望。2019/12/02
更紗蝦
27
時代劇やヤクザ映画のような創作物に準拠した内容であるため、「文化史」や「女性史」というより、「姐御キャラクター図鑑」のような印象を受けました。実在した女性も取り上げてはいますが、それもやはり「その女性をモデルとした小説や映画の存在ありき」の解説です。幕末から近代にかけての日本人の「女性観」を分析した本としての読みごたえはあるのですが、どちらかというと「萌えの系譜」の一側面を捉えた本という感じです。2020/01/10
jamko
12
面白すぎて一気読み。江戸から近代まで、題材化されるほどの女傑たちと、肉体労働の女たちと、自らも性差別著しい業界で働きながら彼女たちを演じた女優たち。忘れ去られるには惜しすぎる女たちの物語がぎゅうぎゅうに詰まっててほんとよかった!まえがきに人見絹枝についての記述がある。〈人見は女子スポーツの黎明期、常に女性蔑視と偏見にさらされたが、「いくらでも罵れ。わたしは甘んじて受ける。しかし、私のあとから生まれてくる若い女子選手や、日本女子競技会には指一つ触れさせない」と啖呵を切ったこともある。〉いきなり泣かされる…2020/12/31
さとちゃん
8
期待していたものとはちょっと違ったけれど、面白く読了。「文化史」と銘打たない方がよかったのでは? 2022/07/07
Aby
7
実在・フィクションのカッコイイ女性「姐御」を,江戸時代から昭和初期にかけてジェンダーの視点から探る.自己決定には,経済的自立が不可欠だ.明治に入ってからの「女権」排除,家父長制と「良妻賢母」教育は,本当にダメな仕組みを作ってきたな.2022/09/18