内容説明
ソウルでの生活に疲れ切ったヘウォンは、ひと冬を故郷で過ごそうと、山と湖に囲まれた片田舎のバス停に降り立った。隣の空き家は、いつの間にか「グットナイト書店」という名の小さな本屋になっていた。店主は幼なじみのウンソプ。彼にとってヘウォンは、初恋の人だった。彼女が戻ってきたことで、静かな冬の生活が変わっていく…。傷つくことに疲れた人、傷つくことを恐れる人。ふたりが背負ってきた過去を、温かい言葉と静かな愛で分かち合いそれぞれが再び人生を歩み始めるまでの、ひと冬のラブストーリー。
著者等紹介
イドウ[イドウ]
小説家。中央大学校文芸創作学科を卒業し、ラジオ脚本作家、コピーライターとして働いた経歴を持つ。温かい視線と、深みのある叙情的な文体で多くの読者から愛され、その作品は韓国国内で「ゆっくり大切に読みたい本」と評される
清水博之[シミズヒロユキ]
ライター。韓国ソウルにて「雨乃日珈琲店」を運営(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaoriction
23
黙々と淡々と生きること。それが誰かの幸せにつながることもあるということ。自分では気づかぬ存在理由もあるかもしれないということ。いまいるその場所が自分の居場所なのだ。一生懸命生きることの難しさと、幸せ。ありがとう と時には自分に呟こう。片田舎の書店、読書会、背負ってきた過去、温かい言葉に深く静かな愛。世界観が好きだ。グッドナイト書店の非公開ブログも好き。全編に流れる言葉がいい。語感がいい。書き留めたい言葉がたくさんあった。きっと何度も読み返す作品だ。2年ほど積まれていた本著。天気が良くなったから読めた作品。2022/11/29
すみっちょ
15
すごくよかった。うまく言い表せないけど、とにかく私はとても好きな本です。完璧じゃないけど素敵で好ましい人がたくさん出てきて、いい言葉もいくつもあって、なんとなく自分も少し前向きになれる物語でした。あぁよかったなぁとホッとできる終わり方なのも嬉しい。ちょうど雪の日にクルミハウスが寒波に襲われる場面を読んでいたので、うちもこうなったらどうしようと思いました。(こちらはそこまで寒い地域ではないのですが)2024/02/08
フランソワーズ
15
へウォン、ウンソプ、ミョンヨ。みな過去に負った傷が癒やされないまま生きている。自分の居場所を探しながら。年が経ち、片田舎の独立系書店「グッドナイト書店」を場に、さまざまな人たちが集い、彼らを囲む。日常からちょっと離れて、やってくる。ただ楽しいひとときばかりではない。やがて対決しなければならない自らの傷。和解とも、再生とも少し異なる、「天気が良ければ...いいときが来たら、状況が良くなったら...」という、ゆっくりとした、そんな前向きに変わった彼らを温かい眼差しで描いてゆく。2023/01/24
Roko
14
ヘウォンは冬の間だけと心に決めて、故郷の町へ戻ってきました。おばあちゃんがやっていた宿は、今はミョンヨ叔母さんが引き継いでペンション「クルミハウス」として営業しています。ここで育った彼女は、子供の頃に使っていた部屋で一冬の間暮らすつもりです。 隣にあった空き家の前に「グッドナイト書店」という看板が出ていました。そこは、ヘウォンの幼なじみのウンソプが開いた書店だったのです。グッドナイト書店がホントにあったら行ってみたいなと思っちゃいました。#NetGalleyJP2020/12/24
二人娘の父
9
#天気がよければ会いにゆきます 原作小説。ドラマを先に見たので「あぁ、あの役はドラマオリジナルか」や「これはドラマでは無かったシーン」などと、いろいろ対比しながらの読了となる。結論から言えば、小説もドラマも、それぞれが独自の世界観を保持していて、とても良いと思った。江原道の寒さもよく伝わってきたし、その中で家やグループが「暖かい場所」としての役割を果たしていることが、作品全体の暖かさにつながっているように思う。雪国で生活する人はどう思うのか、聞いてみたい気もする。2023/02/10