内容説明
奈良興福寺の『阿修羅像』は、自ら命を絶った悲劇の皇女の姿を写したものである。そして阿修羅に秘められた謎はさらに深い。興福寺『八部衆像』は、藤原氏の陰謀「長屋王の変」によって死に追いやられた長屋王とその妻吉備内親王、四人の王子たちの鎮魂と懺悔の祈りを込めて造られた像である。なぜ彼らは造られ、千三百年近い時空を生き抜いてきたのか。
目次
阿修羅の人気と興福寺八部衆の謎
「長屋王の変」と聖武天皇の不可解な対応
長屋王の人物像と藤原氏
持統天皇の悲願「草壁皇統」の存続と首皇子への期待
藤原宮子の出自の謎と文武天皇の勅願寺建立
長屋王と聖武天皇および藤原氏との対立
元明天皇の勅と皇太子の死
橘三千代という女性
橘三千代の仏教信仰と娘たちへの影響
三つの疑問と「長屋王の変」の真相〔ほか〕
著者等紹介
日下草平[クサカソウヘイ]
東京都出身。大学事務局長、学会理事等の職務を経て奈良に移住し、30年来の趣味である日本古代史の研究に専念。繰り返し寺院や遺跡を訪ねては、丹念な観察と既成概念にとらわれない自由な発想によって古代の謎の解明に挑む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinta
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阿修羅像のモデルに迫る話。 でも、最後の最後で表現が妄想気味になってしまって、「おいっ!」と突っ込むばかり。 こうなってしまうと、折角の高説や根拠も「自分が見たいようにしか見えない」という書物の読み方に見えてしまって残念無念。 結局、血統というべきものは、拘らない無私の想いが結果として血縁がつながるんでしょうな。 この時代は、とかく女性の想いが全面に出て、しかも悪戦苦闘している感じがしてならない。それは返せば現在の我々にも通じることで。 読めば読むほど、聖武さん、しょーもない男やなあ・・・2018/04/09