内容説明
呂布も強い。関羽も強い。武勇の面では優劣がないだろう。しかし、心の持ち方には、天地雲泥の差があった。呂布は、富貴、栄達が約束されると、主君を殺して敵方に身を翻した。美女、妻子の言葉に迷い、貫く信念もなかった。まさに「偉大なる煩悩将軍」である。やがて曹操の大軍に包囲されると、家臣の裏切りにあって捕らえられ、処刑されていく。因果応報だ。関羽は、どんな苦境に追い込まれても、主君との誓いを守り、信義を貫いた。その姿勢は、敵将の曹操をも「ああ麗しい人だ。忠義な人だ」と感動させるほどであった。関羽は、曹操の大軍に包囲される。惨敗を認め、潔く討ち死にを覚悟した時、意外にも曹操から「忠義を貫いたまま生きる」道を与えられた。信義を大切にする関羽の生き方が、絶対絶命のピンチを救ったのである。
著者等紹介
吉川英治[ヨシカワエイジ]
明治25年(1892)~昭和37年(1962)。神奈川県生まれ。本名、英次。家運の傾きにより、11歳で小学校を中退。さまざまな職を転々。18歳、上京。29歳、東京毎夕新聞社に入社。翌年、初の新聞小説『親鸞記』の連載を開始。31歳、関東大震災に遭遇したことをきっかけに、作家活動に専念。『剣難女難』『鳴門秘帖』などで、たちまち人気作家へ。43歳、朝日新聞に『宮本武蔵』の連載を開始。爆発的な人気を得て、国民文学作家の地位を不動にする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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虎ボルタ
2
呂布の退場、そして許都での曹操暗殺失敗からの劉備、袁紹の下へ亡命。関羽の千里行前夜までが描かれる。三國志が不思議だなと感じるのは、読むたびに色んな人物に肩入れしながら読めるところ。今回は、曹操に思い入れ深く読んでいます。確かに、献帝を蔑ろにする…とは言うものの、別に命を奪うわけではなし。帝の治世=世の安定ではないので、そこは目くじら立てるところではないかな。孔明登場前だというのに、この盛り上がり。次巻はいよいよ諸葛亮登場、か。2022/07/24
potisuke
0
曹操の仲間に一時なる関羽、袁紹側に劉備がいることも知らず、戦果をあげる。そして、劉備が存命を知り、二夫人とともに曹操の元を離れる。 曹操の恩赦にふれこの後の曹操の窮地に関羽がおこすことへの布石がある場面 来月の第5巻が待ち遠しい。2016/08/23