内容説明
鏡像反転、タイムトラベル映画に潜む哲学的な問いかけ。数学や物理学、回転座標や宿命論、デカルト、カント、ガードナー、ブロック、ダメット、テイラー…などあらゆる手段を駆使して論理的な答えを追求する。“当たり前”を見つめ直し、世界が包有するさまざまな可能性を見出す試み!時間と空間の身近な謎に分析哲学のアプローチから迫る!
目次
第1章 なぜ鏡は左右だけ反転させるのか(鏡像反転の謎;鏡は上下も左右も反転させない;ノボル君の悩み;鏡は上下も左右も反転させる;ふたたびノボル君の悩み ほか)
第2章 なぜ私たちは過去へ行けないのか(『ターミネーター2』;限りなくおいしいワイン;『ターミネーター2』の謎;過去は引き起こせる…ロンドンの宿命論と踊る酋長;未来は決定している…オズモの物語 ほか)
著者等紹介
加地大介[カチダイスケ]
1960年、愛知県に生まれる。1983年、東京大学教養学部(科学史科学哲学分科)卒業。1989年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程(哲学専攻)単位取得退学。博士(文学)。2007‐8年、ニューヨーク大学・ダラム大学(いずれも哲学科)客員研究員。現在、埼玉大学学術院(大学院人文社会科学研究科・教養学部担当)教授。専門は形而上学および論理哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
104
子どもの頃から、鏡で左右だけ反転するのが不思議だった。寝転んで鏡を見て、なぜ頭と足が入れ替わらないのかと。その後、これは物理学ではなく、左右とは何かという哲学の問題だと思うようになった。でも、量子力学でパリティ対称性の破れを知った時、やっぱり、左右とは、内在的性格を持つ物理問題のような気になったものだ。「鏡像反転問題」と「タイムトラベル問題」の2つをテーマとする本書は、空間や時間の哲学問題として、そんな自分の疑問に付き合ってくれる。結論について異見はある。でも、思考実験として、こういう読書は心から楽しい。2024/10/07
樽
7
そんなことどっちでもよくね?ってことを、いやいやもちろんよくないよ君、ちゃんと考えたまえよ、と直面させられるのが私にとっての哲学書のイメージで、この本もくだけた感じで語りかけてはくれるが、内容はガチ。難しかったです。2025/03/05
Yuuri Kuzukawa
2
面白かったが抽象的なのでわからないまま読み進めることもたくさんあった。しかし今は考えてもよくわからないだろうしとにかく読み切って、また別の本を読んだら戻ってこようと思って読了。簡単な言葉で書いてあるのにどうして理解できないんだー!となりながら格闘した。文章を読んで想像しようとするから抽象的な部分が追いつけないのかもしれない。2025/02/20
takao
2
ふむ2024/12/09
kentake
2
本書のタイトルを見て『鏡に映ると左右は逆になるのに上下は逆にならないという疑問を突き詰めて考えると哲学的な問題になる』と言われたことを思い出したが、本書も哲学的な思考法を解説するという視点から書かれている。 鏡像反転については、3次元座標系(x、y、z)の中でxy面に置かれた鏡により、点(a、b、c)は点(a、b、-c)に変換される、というシンプルな説明に尽きるとは思うが、そこに左右とか上下という相対的な概念や人間の身体的感覚が巻き込まれてしまうと、カントの空間論まで出てくる哲学的な問題になってしまう。2024/11/05
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