目次
第1編 歴史意識・思想・情報(徳川斉昭の名誉回復をめぐる動向;明治二〇年代初頭 地方青年の政治活動―民権運動家・森隆介と雑誌『常総之青年』を中心にして;明治知識人の思想と行動―野口勝一と旧水戸藩の勤王功績調査;岡倉覚三の明治維新観―世紀転換期における「日本」の語り;会沢正志斎と「水戸学」の系譜―幕末から戦後まで)
史料紹介 茨城大学図書館所蔵古文書にみる幕末維新期の水戸藩
第2編 由緒意識とその行動(近世後期在郷商人の由緒的結合と活動―水戸藩領の土地証文解析と郷士格取得の経緯を通して;秋田藩佐竹家中長瀬氏系図の成立と旧領常陸―幕末・明治期の由緒探求と同苗間交流)
感想・レビュー
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秋津
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「近世から近代へと体制が移行する過渡期」を中心に、主に茨城における歴史意識・思想・情報等を考察した論文集。 徳川斉昭の名誉回復運動を通じた藩を異にする者同士の交流、膨大な政治結社を有する茨城における「青年」の啓発を促した、議会の前史としての民権運動、旧藩単位でスタートした史料編修事業の性格・変容、「新水戸学」の理論的代表者の評価の変遷と幕末以降の歴史背景の関係など、表題にも掲げられた「近世近代移行期」における水戸藩、茨城県の人々の活動についての多角的な考察が大変面白く、刺激的な一冊でした。2018/01/14