内容説明
庶民の時代へ大きく変貌する過渡期にあって、頑迷にアメリカの建国の理念、そして民主主義の理想を説き続けた、フェニモア・クーパー。狂気寸前、骨の髄まで民主主義の理想に殉じた殉教者、ウオルト・ホイットマン。はなやかな豪邸やニューヨークの摩天楼も、拝金主義・商業主義に侵された民主主義の行き着いた無残な光景としか映らなかった、ヘンリー・ジェイムズ。金権主義と低俗な民主主義の支配する世紀末ワシントンの政治の世界に自分の居場所を見つけられなかった、ヘンリー・アダムズ。19世紀後半の四人のアメリカ文学者の解読を通じて、異質なものをできうるかぎり排除しようとするアメリカ民主主義に内在する危険性を摘出!
目次
第1章 アメリカン・デモクラシーと四人の作家
第2章 偉大なるアナクロニスト―J・F・クーパーの矛盾と相克
第3章 デモクラシーの預言者―ホイットマンと民主主義の現実
第4章 最後のブラーミン―ヘンリー・アダムズと歴史の連続性の崩壊
第5章 意識と形式の分断―ヘンリー・ジェイムズのアメリカ
第6章 テクノロジー、デモクラシー、そして二人のヘンリー
著者等紹介
大畠一芳[オオハタカズヨシ]
1949年茨城県生まれ。1971年茨城大学人文学部卒。1983年筑波大学大学院博士課程単位取得退学。国際ロータリー財団奨学生(デイトン大学大学院1975~76年)。文部科学省在外研究員(イェール大学1998~99年)。茨城大学人文学部でアメリカ文学を担当。茨城大学名誉教授。現在聖徳大学兼任講師、流通経済大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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