内容説明
この世ならぬ色に染まる異形の岩山、神秘的な湖や深い森―そこでは動物界と人間界の境さえさだかではなく、人間と動物はごく自然に言葉を交わし合い、お互いに変身する。太古の昔、イタリア北部ドロミテ・アルプスにはいくつかの王国が存在し、時に共存し、時に覇を競い合っていた。峻厳な美しさを誇るドロミテ山地を舞台にくり広げられる美しくも哀しい、戦争と平和の物語。
著者等紹介
増山暁子[マスヤマキョウコ]
国立音楽大学名誉教授。聖心女子大学卒。イタリア(ミラノ・カトリック大、大学院、フィレンツェ国立大、ペルージァ外国人大)、イギリス(バーミンガム大、シェイクスピアコース)に留学。NHK国際局で“Musica per tutti”“Mattutino musicale”などのイタリア語放送を20年間担当。著書に、2007年イタリアFlaiano国際賞にノミネートされた『イタリア異界物語』(東洋書林)など多数。2001年4月、日本文化振興会、国際アカデミー賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ねこまおう@彷徨猫
6
現実と伝説が交錯する物語。ドラシッラの運命はもちろん、鏡をめぐる伝説が悲しい。2018/05/07
めぐみこ
2
イタリアのドロミテ山岳地域に伝わる、古代ファネス王国の伝説をまとめた本。罌粟の花モチーフのデザインに、伝説級の武具や宝石、地下にすむ小人たち、悲劇的な英雄…ロードス島シリーズやトールキンが好きな人には堪らないと思う。たくさんの登場人物が入れ替わり立ち替わり現れて、豊かなファネス王国はやがて悲劇へと至る。最後のファネス王妃の言葉が切ない。2019/03/18
ハル
0
ファネス王国、マルモッタ、至宝ライエッタ。言葉の響きが美しい。2017/10/05
j1296118
0
『異界物語』で初代王妃と赤い岩壁の話を読んで気になっていたファネス王国の物語。 えせ王はなかなかどうしようもない人物だったけど、王妃の方も彼にはマルモッタとの同盟も周辺によく見られるという双子交換の慣習も一切教えてないような様態で、違う付き合い方をしていれば多少マシになったのではという気がしないでもなかった。しかしツィクータとの一件を考えるとやはり元々の性分がひどいのか2018/02/17