感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
116
「教育」「研究」「管理運営」の三つの角度から、石井先生が大学への思いを語る。私は、大学設置基準大綱化(1991年)と国立大学法人化(2004年)が日本の大学をガタガタにしたと思っているが、それによって「大学の自治」と「学問の自由」が失われた現実に対する認識は、石井先生と見事に一致する。有能で教養ある人間を育成することを目指すのではなく、「稼げる大学」などという下品な目標を掲げるこの国の文教行政。学内広報に「東大は、国立大学であって国策大学ではありません」と檄文を掲げた石井先生の気持ちが、痛いほどわかる。2026/05/15
おこげ
2
大学の危機が叫ばれて久しいが、本書では大学のあるべき理想に対する熱いメッセージが込められている。ただし、教育、研究、管理運営の側面から大学の歴史と危機の具体が冷静かつ論理的に分析されているので、浮世離れしておらず地に足についた理想論と感じた。大学の教育研究活動に対して短期的かつ経済的な成果が求められ、同時に社会的責任、説明責任、エビデンスが求められる現代にあっては、学問と政治の「異文化摩擦」と「相互不信」はより深刻な影響を及ぼす。著者の言葉として「東大は『国立』大学であって『国策』大学ではない」が印象的。2025/11/02




