感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラウリスタ~
15
100分で名著の、岸版入門と比べると、こちらはディスタンクシオンの各章についてまとめていく読書会レジュメ的入門書。また岸氏が社会学者(ブルデュー専門家ではないらしい)なのに対して、石井氏はフランス文学が専門。なので、見た目に反して?石井氏は、これは社会学素人による非学術書だという。とはいえ、ディ翻訳者による概説本なので、ほとんどの人にとってはもうこれで十分じゃないかなと思える。ブルデューはほとんどの人にとって、研究するものではなく、使うものなので。文章はですます調で極めて読みやすい。2022/11/17
ケー
4
本編を読む前の外観を掴むには最適な本。本を読むことが当たり前の教養、美術館に行くのは当たり前と思っている方こそ読んでほしい!2021/02/28
キンダニ
4
明解な解説だった。以下の引用箇所は心に刺さった。「今でもなお、いろいろな社会問題に関心はありながらも、それを的確な言葉にするだけの知識も能力もないために『無能性の沈黙』に甘んじざるをえず、自分の言いたいことを誰かが代わりに言ってくれることを望んでいる人、そして『権威ある意見、影響力のある意見』の中に自分の思いが映し出されているのを見て(あるいは映し出されていると信じて)ささやかな満足を覚えている人は少なくないのではないでしょうか」(218頁)。「発言権の委託」をしないために、さらに勉強しよう。2021/01/11
syuu0822
3
自分で選んだと思っていた趣味が、実はそうではなかったとしたら…。ディスタンクシオンに書かれていることは現代日本にも当てはまるのではないでしょうか?実際自分も立ち振る舞いから人を見定めてしまうことはあります。(自分自身がどう思われているかはさておき) このような格差は無くなることはないかもしれませんが、この格差によって自分に自信を無くしたり、絶望までしてしまうと問題かと思います。月並みかもしれませんが、そういった溝を埋める努力は社会全体で絶えず続けていく必要があるかと思いました。2021/03/28
ゴリラ爺
2
非常に面白く明快な良書。『ディスタンクシオン』には、我々は本当にそれを主体的に選び取っているのか、という問いかけがある。自分が好きなこと、つまり趣味嗜好すらも階級や環境によって規定されているのだというのをアンケート結果から突きつけ続けるブルデューに絶望させられる一方で、自分が故郷の家族や友人のハビトゥスに感じてしまう曰く言い難い嫌悪やアンビバレンツが何に由来しているのかをうまく言い当ててもらえた気もして、いい塩梅に内省的な読書ができた。石井洋二郎先生の文章含め素晴らしかった。2023/11/28