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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
燃えつきた棒
36
僕には書かれていることの全てを理解することはできなかった。悲しいかな理解力と集中力が不足しているようだ。 だが、僕がなぜ孤立せざるを得なかったのかが、分かったような気がする。 とにかく、岸政彦さんの「100分de名著 ブルデュー『デイスタンクシオン』」や、ALL REVIEWSの「石井洋二郎×鹿島茂、石井洋二郎著『ブルデュー『ディスタンクシオン』講義』を読む」のイベントのおかげで、なんとか読み終えることができた。岸先生と石井さんに感謝したい。/2021/12/24
逆丸カツハ
31
文化資本。一方の祖母は大きな木を切ったから今呪われていると言うような人で、一方の祖父はちくまの文学全集を集めて必死に自立して生きている人である。1945年はすでにケインズの生きていた時代。比べてみて、何だこの差はバカらしいと思う。2025/03/26
さきん
21
文化資本も階級闘争の構造に囚われているということを指摘している。どうしても日本はどうかと思うが武士階級が消滅し、華族も経済的に没落した今、フランスほど顕著ではないように感じる。2025/01/21
てれまこし
12
欧州文化エリートの教養貴族的ハビトゥスを支える権力構造を、フランスの伝統でもある徹底した実証主義で暴露していくブルデュー。趣味をめぐる問題の背後には、すべての人々が自らの所有する資本から最大の利益を引き出そうとする闘争がある。しかし、そうすることによって人々はまた不平等を正統化し再生産してしまう。だがこれを知った上で、学者や知識人は何をすべきなのか。所詮学問も私心なきものにならないというニヒリズムに陥らないか。彼の研究自体が、プチブルから支配階級へ成りあがった彼の経歴と無縁でない。怨恨と差別化願望の所産。2020/12/23
roughfractus02
11
前巻(第I部・第II部)では社会空間を差異のネットワークとし、階級構造全体に行き渡る文化資本が社会的判断力=選別化(ディスタンクシオン)の指標として扱われた。本巻(第Ⅲ部)では、前巻後半で文化資本を社会空間から力の場に移した上で、階級を個別的に検討する一方、その分類行為自体の曖昧性をあらわにする。階級を生成の効果と見なす著者は、他者と自己の区別(選別化)を諸力が生み出す差異が蠢く社会空間に置いて捉え直し、判断力を目的概念から始めて生得的(目的なき合目的性)と規定したカントのニュートン的社会空間を刷新する。2024/05/11