出版社内容情報
産廃90万トン全量撤去という「奇跡」は、なぜ実現できたのか?
人口千人の瀬戸内の島に産廃90万トンが不法投棄され、甚大な健康被害と環境汚染が生じた「豊島事件」。責任は行政の不作為にあるのか、事業者にあるのか? 島民は一致団結できるのか? 反対運動に身を投じ、県議を二期務める一方、一転ホームレス状態にも陥った、闘争の中心人物が、世界に類のない「全量撤去」実現の過程を内側から描く。
石井 亨[イシイトオル]
著・文・その他
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
それいゆ
44
石井さんは今どこで何をしているの?ここ数年ずっと気になっていました。香川県議選3選とはならず、その後中坊弁護団長も永眠。産廃処理は進み、昨年全量撤去・溶解が完了しましたが、今年になって新しい産廃物が発見され、その撤去が新たな課題として浮上しました。私は産廃の現場で石井さんの話を聞いたことがあり、県議選出馬のときには、石井さんが当選しなければ小豆島の島民として恥だという思いで、1票を入れました。私はこの不法投棄に立ち向かった豊島の人々の話は、何とか賞のような小説よりもはるかに重く、深い傑作だと評価します。2018/08/27
バニラ風味
21
とてもとても、読み応えがありました。読みながら気になって、豊島のHPなどを検索したりしてしまったので、読むのに時間もかかりました。ダイオキシン問題の発端にもなった不法投棄の件、恥ずかしながら記憶になく、著者が戦った、その長い大変な月日、そして膨大な記録を、ここまでまとめるに、どれだけ大変だったろうかと恐れ入りました。著者は不法投棄が自分の人生を変えるとは、思いもしなかったでしょう。知らないというのも怖いことだし、知ってしまっても怖いこと、沢山掲載されています。2018/05/20
J.T.
6
この長い長い不法投棄の話はこれで終わったのだろうか。ゴミを積んだ最後の船が島から出て行くが、汚染はどうなんだろう。住民間の亀裂は?このために人生を捧げることになる人々のその後は?読み進めるのが辛かった。希望があるとすれば、行動に移した島の若い人たちのこれからと、著者の膨大な経験値。風光明媚な瀬戸内海の島々に憧れて、住んでみたいと思うが....。同じ被害者同士の心無い発言も、自分だったら耐えられない。結局自分たち一人一人の意識を高めることでしか、世界は変えられないと改めて思う。2021/02/09
takao
2
ふむ2022/08/07
Yone
2
香川県、豊島で実際に起きた大量の不法投棄と戦った一部始終を一市民が書き起こした実話です。 壮絶。事実は小説よりも奇なりの世界がありました。筆者が安心して生活できるようになってほしいと切に願います。もちろん現地に住まれている方皆さんがそうですが、筆者の抱え込み具合は異常なように感じます。 世にもっと広まって欲しい一冊です。2018/09/11