出版社内容情報
もう一つのディアスポラ民族の三千年史をトータルに描く初の歴史書
東は中国・東南アジアから西はマルセイユまで、陸・海を通じて幅広く交易を行ない、商業民族として世界に進出、ハチャトリアン、カラヤン、サローヤンなど芸術に秀でた人物も輩出してきたアルメニア人。「諸帝国による支配と独立」と「ディアスポラ」という二つの視点から、三千年にわたるその歴史を一冊にまとめた決定版の完訳。アルメニア史研究の第一人者による、バランスの取れたアルメニア史の基本文献。
●アルメニア歴史地図45点
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hal
8
『ローマ人の物語』を読んでいると必ず出てくるアルメニアについて知りたくなり、読んでみました。アルメニア人によるアルメニアの通史です。印象が「良くも悪くも聖書を読んでいるよう」です。作者のせいなのか、訳者のせいなのかわかりませんが、主語が何か、代名詞が何を指しているのかがわかりにくく、人物名の羅列があるが、その人物像が生き生きとはしてないという欠点があります。アルメニアや他の世界の重要事項を並べた巻末の年表がなかなか面白かったです。2019/03/30
Khalid
3
異教時代から現代に至るまでのアルメニア人の概説的通史。著者はイラン生まれのアルメニア人で現在はアイオナ大学の歴史学主任教授。本書は二部構成で、第一部はウラルトゥ時代からモンゴル人支配までの時代の歴史的アルメニアにおける諸アルメニア王朝と周辺の諸勢力の関係を描写し、第二部では15、16世紀以降のオスマン帝国、ペルシアの諸王朝、ロシア帝国などの各地のディアスポラ先のアルメニア人共同体を描写した後、ソヴィエト・アルメニア、現代のアルメニア共和国を描写する。故地とディアスポラ先についての記述がバランスよく2016/06/20
yasu7777
2
★★★☆☆ 旧ソ連内の一つの共和国というイメージしかなかったが、古代からの民族の歴史とディアスポラの歴史を持っていることを改めて感じさせられた。2016/04/10
ポルターガイスト
1
ユダヤ人と同じようにディアスポラのため本国より世界各地に住む人口の方が多いアルメニア人の通史。トルコ・ロシア・イランに囲まれた地理的条件や,登場人物が世界各地に商人や通訳として散らばっていることで,単にアルメニア人の歴史というだけでなくそれを通した世界史の把握ができる。文体は教科書的で乾いているが章立てが細かく政治・経済・文化にそつなく触れているのでテンポがよく読みやすい。全体的によいがアルメニア人虐殺以降がやはり読み応えある。ただ少しアルメニアびいきが強い印象。10000円近く出した甲斐はあったと思う。2017/09/30
鏡裕之
1
モンテスキューの『法の精神』には、ロリコンというフランスの歴史家が登場する。そして本書では、何とロリという地域が存在するのだ。しかも、11世紀の頃、ロリ王国という王国まであったという。ロリの王国はあったのだ!(笑) 真面目な話、本書を読むとナゴルノ・カラバフの問題なども少しもわかるようになる。第一次世界大戦のイギリスの数枚舌外交は、この地域にとんでもない爪痕を残した。2016/08/27
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