出版社内容情報
古文書は文化財として貴重な歴史的な資産であり、万全な保存措置が講ぜられ十分に活用されることによってはじめてその価値が発揮されるものである。
本書には昭和63年2月22日付で東京都の有形文化財(古文書)に指定された吉野禎次郎氏所蔵の古文書の一部を収録した。
吉野家は戦国期の在地土豪の系譜をひく家柄で、始祖の織部之助は後北条氏滅亡後この地に来住・土着し、近隣の新町村の開墾を推し進め、彼の子孫は下師岡村に居住し、同村の名主役に就任していた。
同家所蔵の古文書(8703点)は近世初頭この地に土着し、周辺地域に大きな影響力を持ちながら帰農していった土豪的農民(吉野氏)の歴史的変遷をはじめ、下師岡村の農民生活の実態や周辺村落の歴史的な動向などを知ることができる貴重な史料群で、昭和59年度から3か年かけて調査を実施し、資料の原稿化を図ってきている。