内容説明
70年代以降の日本の精神文化の底流を流れる思想、吉福人間学の集大成。
目次
なぜ語るのか
四つの力(人を揺り動かす力;前景と背景 ほか)
自我と成長(なぜこんなにも長くわれわれは生き残るのか;自我の残痕とボケ ほか)
自己と社会(自己イメージと影;自我と自己 ほか)
世界の中にありながら世界に属さない(人は成長しない;恐れずに破綻しなさい ほか)
著者等紹介
吉福伸逸[ヨシフクシンイチ]
1943年、岡山県倉敷市生まれ。著述家、翻訳家、セラピスト。早稲田大学文学部中退。1966年、ボストンのバークリー音楽院に留学。アメリカ東海岸で音楽家として活動後、中南米での生活を経て、カリフォルニアへ渡る。1972年カリフォルニア大学バークレー校で東洋思想とサンスクリットを学び、1974年に帰国。1977年、C+Fコミュニケーションズを設立、出版活動、ワークショップを開催。1987年、C+F研究所を設立し、トランスパーソナル心理学を中心に活動。1989年にハワイに拠点を移し、それ以後も、日本でセラピーやワークショップ等を開催し、精力的に活動した。2013年4月、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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marmelo
8
周囲の人たちとはどこか違ってしまっている自分であると、囚われるように、しかし確信的に感じてはいた。そして私のこの実感を的確に言い表しているのがこの表題『世界の中にありながら世界に属さない』。もともと学習障害気味なこともあって、取り巻く世界の捉え方というものに自分と多くの他人との間には何かしら決定的な違いがあるような気はしていた。けれどもそうした違いはあって当然だということを、この本は序盤から解らせてくれた。まだ3分の1しか読んでいないけれど、ここらで一度感想を書いておきたくなって。2018/05/24
チエコ
8
講義録なので、読み物として明快かと言われると微妙。面白かったけど。2017/05/24
marmelo
6
世間とは個人の内面の投影。人の数だけ膨大に別々な世間があり、私の世間は私独自のもの。私の世間は私のもの以外の世間から影響を受けながら変容しもする。しかし私が観察する私のもの以外の世間も私の目を通して見た私の世間観。世界を言葉を用いて再構築しようとしても結局私の内の既定の結論に向かうだけで新境地には至らない。そもそも自由人だと思われる私という一個も幼児期の環境などの構造の影響下に形成されていて今なおそれに縛られていて。こんなことを昔から考えていて確かにずっと『世界の中にありながら世界に属さない』でいる。2018/05/30
yukari
6
よかった。人は結局人間中心主義でしか物事を捉えられないし、社会というのは自分の中のイメージが作り上げているものだから、自分が見たいと思っているものしか見えないというのは本当にそうだと思う。年を経るたび自我が薄まり、色んなものへの執着がなくなっていくのがいいのだろうけど、実際はその逆で多くのことを経験したり獲得すると、人は中々それを手放せなくなってしまう。不安を感じるのは、自己イメージが揺らぐ時で、それは決して悪いことじゃない、むしろ自我(境界線)が薄まるチャンスだというのがいい考えだとおもった。2017/04/05
Åκ
5
『勝手にどうぞ』という、自分の欠損を補うためのセラピー。妄想や夢の中に住んでいるのでなく、社会的な規範を、しっかり身につけて、それに縛られる事を徹底的に良しとしない生き方を目指そうよ、と語る。傷の舐めあい、慰めあい、そこから何かが立ち上がってくるわけではない。難しいな~2017/05/01