感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
96
「本の海に溺れたい」を合言葉にするほどの読書家である著者の、「音楽家は本を読め!」というメルマガを下敷きにした一冊。音楽を志す人に、西洋音楽の深層にある思想や文化を知り、カントル(演奏家)ではなくムジクス(優れた音楽家)になってほしいという思いが迸る。ウェーバーの「音楽社会論」やロランの「ジャン・クリストフ」なら分かるけれど、阮籍「楽論」や嵆康「声無哀楽論」、「宇津保物語」まで読めとは、こりゃちょっとハードルが高いが…。フランスで学び、日本人が西洋音楽を受容する難しさを知る浦久さんならではの渾身の叫び。2025/08/08
しお
1
目次を開いた時に、「Ⅰ 本の海を泳いでみる」「Ⅱ 本の海に潜ってみる」「Ⅲ 音楽という海に溺れるためのブックガイド」「Ⅳ 本の海に溺れながら考えてみた」という各章の表題に惹かれ、旅先で購入。最終章で「音楽の二層構造」「スペキュラティヴ・ミュージック」「リベラルアーツとしての音楽」についてとても分かりやすくガイドしてあって、この本高校生の時の自分に教えてあげたい!悔しい!となった。浦久さんの本文もとても素晴らしいけれど、青柳いづみこさん、舘野泉さんとの対談部分がすきだった。2025/07/18
sou
1
本をたくさん読みたくなる本でした。本との出会い、背表紙、読書術、愛書家の音楽家3人との対話、「音楽家」とはなにか?など本の海を泳いで潜って溺れる多彩なトピック。特定のテーマを探求する時は音楽本コーナー以外の本も「乱読」しよう!というのは頷くばかり。モーツァルトとシューマンで具体例も。出会うために本屋の散歩をもっとしようと思います。「表層としての音楽世界は、たしかに楽譜の中にあるかもしれない。けれども、楽譜のなかに描かれていない深層の世界は、書物として残された膨大な知の宝庫のなかに文字として刻まれている」2025/07/06