感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
95
フラメンコを生んだアンダルシアに関するエッセイ。著者のスペインの歴史への造詣が深く、東西の文化が交流し、アフリカやアメリカ大陸からの交易で栄えた地域への深い洞察と愛情が感じられます。イベリア半島にヒターノ(ジプシー)が流入したのは15世紀半ばであり、フラメンコのレトラは死をはてしない苦しみを歌うためのものと言われる。「フラメンコの人びとは、悲哀に酔うすべを知る詩人なのだ」アンダルシア的なものと、ヒターノ的なものとは深いところで融合している。「スペイン人は、みんな、神様の次に偉いのは自分だと思っている。」2024/10/04
お抹茶
2
行ったことはないが,きっと独特な香りを持つであろうアンダルシア。イスパニスタの著者の筆と乾いた空気を写し取る豊富なカラー写真で,しばしアンダルシアを旅した気分になる。アンダルシアには海も山も河も平野もあり,自然環境の多彩さは人の暮らしを多様なものにし,文化も複雑にする。アンダルシアならではの生気と神秘感を見事に造形した音楽家はファリャ。古今東西のたくさんの民族や人種が引き付けられ,言語や文化習俗が混じり合い,フラメンコの音楽や舞踊のようにこの土地固有の色合いに染め変わった。2023/07/14
みかん
2
濱田大先生の著作、ちゃんと読むのは初めてだったけど「音楽だけじゃなくてアンダルシアの全てを知って欲しい!」という熱量をひしひしと感じるし、そうした濱田メソッドを感じるのに適切な一冊だったと思う。読むとアンダルシア巡りをしたくなるし、スペインのピアノ音楽についてもっと勉強せねばと思う。ベティカ幻想曲も気になるし。あとヒメネスの「プラテーロとわたし」もいずれ読みたい。2020/07/24
ファルコファン
1
おん年85歳、濱田滋郎さんのアンダルシア愛、フラメンコ愛にあふれた本。アンダルシアの自然、歴史、文化、民情を分かりやすく伝えたいという気持ちが伝わってくる。「フラメンコがそこに芽を出し、花を開き、実を結ぶように運命づけられた、そこしかない‘’約束の地‘’であったのだ」2020/08/04
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