感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジョンノレン
61
古楽中心ながらこだわりなく、いろいろ展開されている鈴木秀美氏の著作。肩肘張らず心地よく読めた。前半は楽器の特性や技術的側面の話だが、多少齧ていたのですべてストンと落ちてくる。専門的になり過ぎずとてもわかりやすく楽しめると思う。幼年期に斉藤秀雄氏と出会ったことや師事する井上頼豊氏をはじめ桐朋の面々とも絡む話も。ビルスマとブリュッヒェンとの心の交流も心に沁みた。2025/04/25
tom
14
チェロの名手の雑文集。小さいころから才能を発揮したし、練習量も半端ではない。超絶技巧の持ち主。自分が弾きたいのがどんな音楽かもわかっている。そういう人が世の中にいるのだなあと、しみじみ思ってしまう。そして能力の高い人の周りには、能力の高い人が集まって来て、ますます能力アップ。能力あっても真逆のパターンの方がたぶん多いから、この本を読んだ演奏家は、羨望と嫉妬をするかも(笑)。2019/12/27
あんさん
13
長年BCJで通奏低音(コンティヌオ)を弾かれた鈴木秀美さんのエッセイ集。単にチェロを弾くのではなく、和声を理解してチェンバロやオルガン、コントラバスやファゴットとグループになって楽曲全体を支え進行させる仕事とのこと。背景には大変な理論的蓄積があるようで、私には想像がつかない。師である井上頼豊氏、ビルスマ氏、ブリュッヘン氏とのエピソードが素晴らしく心に残った。「このような8分音符を弾き続けるのをツマラナイと思うか喜びを感じるか、これはもう、その人の性格がバス弾きに適しているかどうかによるとしか言えない」2024/05/18
trazom
6
この本は秀逸である。文章にリズムがあって、さりげないウィットもとても品がよく、鈴木先生のお人柄が現れている。しかも、内容は極めて論理的。ここまで深く考えて演奏しておられたのかと感心するが、それを、こうして私たちにわかる言葉で表現できる鈴木先生に心から尊敬を覚える。前半で、ピッチや音律に関する論理的な文章に感動し、後半では、井上頼豊先生、ブリュッヘン先生、アンナ・ビルスマ先生に対する鈴木さんの愛情に満ちた言葉にホロっとなる。正に、知・情・意すべてにおいて、質の高い感動を与えてくれる本当にいい本だ。2017/07/13
どら猫さとっち
6
バロック・チェロ奏者、指揮者、そして名文家として知られる著者の最新エッセイ集。ときにしみじみと、ときにユーモラスに描く、通奏低音弾きの日常と音楽の世界。著者の演奏会には何度か聴きに行っているが、温かな音色に軽妙なトークがとても好き。今まで通奏低音を通して気づいたこと、著者の素顔など、面白くためになるエピソードも満載。2017/06/30
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