シューベルトの「冬の旅」

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  • サイズ A5判/ページ数 440p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784865591507
  • NDC分類 762.346
  • Cコード C1073

出版社内容情報

英国の誇る世界的歌手が、千回を超える演奏経験と、文学・歴史・政治・自然科学に及ぶ知見と洞察にもとづいて著したシューベルト論。英国の誇る世界的リート歌手が、1000回を超える演奏経験と、文学・歴史・政治・自然科学におよぶ広大な知見と洞察にもとづいて著した、いまだかつてない刺激的なシューベルト論。



『冬の旅』全曲の成立史を克明に跡づけるとともに、詩人ミュラーと作曲家シューベルトが生きた19世紀初頭のヨーロッパの文化状況や自然環境を、豊かなイマジネーションで読者の眼前に生き生きと再現する。カラー図版を多数掲載した美しい造本仕様も魅力。



すぐれたノンフィクション作品にあたえられる英国の権威ある文学賞「ダフ・クーパー賞」を受賞!



「『冬の旅』ほどに複雑で強い情感を呼び起こす作品を演奏するということは、それにあらゆる面でかかわるということだ。1828年に文化という大海原に流された、瓶に入れられたメッセージが、いまに生きる私たちにどんな意味をもつのかを理解することでもある。この作品は私たちの現在の関心事にどう関連するのだろうか? まったく予期しなかったようなかたちでも、私たちとのつながりが見つかるのだろうか?」(本文より)



「この著作の英語のサブタイトル[Anatomy of an Obsession]が示すように、『冬の旅』にとりつかれた心を分析することで、ボストリッジは自分が音楽の解釈者のなかでももっとも才能ある文筆家に属することを証明してみせた。彼が語ることは、生き生きとして博識であり、もっとも素晴らしい意味において読者を楽しませるものである。本著は文化史を概観させてくれるばかりでなく、プレゼンテーションの大胆さと巧みさゆえに、読者をこのうえなく刺激的な知的世界への冒険へと誘うのだ。[略]

この本はより広い読者層を意識したものである。音楽用語の使用は控えてあり、さまざまな専門用語は説明がなされている。それに加えて、見識をもって選び抜いたかずかずの絵画や映像が、彼の文章をさらに豊かなものにしている。シューベルトとカスパー・ダーフィト・フリードリヒを対比させることが、これほどまでに意義深く思えることはめったにないだろう。」(アルフレート・ブレンデル/独Zeit紙の書評より)

日本語版への序文



序 章

第1章 おやすみ Gute Nacht

第2章 風 見 Die Wetterfahne

第3章 凍った涙 Gefrorne Tr?nen

第4章 凍 結 Erstarrung

第5章 菩提樹 Der Lindenbaum

第6章 あふれ流れる水 Wasserflut

第7章 流れの上で Auf dem Flusse

第8章 かえりみ R?ckblick

第9章 鬼 火 Irrlicht

第10章 休 息 Rast

第11章 春の夢 Fr?hlingstraum

第12章 孤 独 Einsamkeit

第13章 郵便馬車 Die Post

第14章 霜雪の頭 Der greise Kopf

第15章 カラス Die Kr?he

第16章 最後の希み Letzte Hoffnung

第17章 村 で Im Dorfe

第18章 嵐の朝 Der st?rmische Morgen

第19章 惑わし T?uschung

第20章 道しるべ Der Wegweiser

第21章 宿 屋 Das Wirtshaus

第22章 勇 気 Mut

第23章 幻の太陽 Die Nebensonnen

第24章 ライアーまわし Der Leiermann

終 章 なごり



訳者あとがき

訳 注

参考文献

図像についてのクレジット

イアン・ボストリッジ[イアン ボストリッジ]
イギリスのテノール歌手。ドイツ・リートの解釈では今日もっとも卓越した歌手のひとりとして、世界中で高い評価を受けている。オペラや歌曲の録音はかずかずの賞を獲得しており、ヨーロッパや北アメリカ、極東で定期的にリサイタルをおこない、批評家からも絶賛されている。
オックスフォード大学では近代史を専攻し、1990年博士号を取得。著書に『1650年から1750年における魔術とその変容』(1997)と『歌手の忘備録』(2011)がある。オックスフォード大学の音楽学客員教授をつとめ、英国の新聞『ガーディアン』や英語圏を代表する書評週刊誌『タイムズ文芸付録』に定期的に寄稿している。

岡本 時子[オカモト トキコ]
上智大学大学院外国語学研究科言語学博士後期課程単位取得退学。ドイツ、ザールラント大学留学。専門はドイツ言語学、音声学。現在筑波大学グローバルコミュニケーション教育センター非常勤講師。主要著書:『ドイツ言語学辞典』(共著、紀伊國屋書店)

岡本 順治[オカモト ジュンジ]
上智大学大学院外国語学研究科言語学博士後期課程単位取得退学。ドイツ、ザールラント大学留学。専門はドイツ言語学、認知意味論。現在学習院大学文学部ドイツ語圏文化学科教授。主要著書:『現代ドイツ言語学入門』(共著、大修館書店)、『講座ドイツ言語学 ドイツ語の文法論』(共編著、ひつじ書房)

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Christena

12
「冬の旅」が好きでよく聞くので、詳しく知りたいと思って読んでみました。すごくマニアックな内容でしたが、一章が一曲に対応していたので、ドイツ語の歌詞と対訳の日本語を見ながら、一曲づつ聞きながら読み進めました。全部が理解できたわけではないけど、深く知ることができて、さらにこの曲が好きになりました。読んで良かった。2018/10/18

汲平

2
一晩に一章ずつ、様々な演奏を聞き比べながら、ゆっくりと時間をかけて読みました。ボストリッジが知的なアプローチをしていることは有名であるのだが、これほど該博な知識と洞察で解釈しているとは驚き。だが、それよりも驚くのは、多忙な演奏旅行の合間にこれだけの大著を書き上げたこと。驚嘆です。2018/01/19

Lieu

1
線が細くて透明な声質のボストリッジの『冬の旅』のCDが好きで手に取った。オックスフォードの歴史学の博士号ももつというボストリッジは、歌手としての経験のみならず、文化史や文学の深い知識を駆使して『冬の旅』を読みとく。たとえば「菩提樹」のセクションでは『魔の山』や『失われた時を求めて』から自在に引用しているのに目を見張る。学術書でも音楽技法寄りの評論でもなく、どこから読んでも面白い。間違いなく良書である。2019/10/03

トビケ

0
クラシック音楽を聴いて20年以上経ち、年月を重ねて、未だに膨大な発見がある。新しく魅力的なものに出会うこともあるが、既に何度も聴いていたものの受け止め方が大きく変わることもある。冬の旅は後者で、昔から気にはなるがよくわからないものだったところ、本書を読みながら丁寧に聴くことで、色々と気付きがあった。最近のトッパンホールでのボストリッジの公演を契機に本棚から本書を取り出して読んだのだが、知的に満たされ、得るものの多い時間で愉しくなった。善き哉。2024/02/09

Eu

0
音楽の本だけどあまり譜例を使ってなくて、読みやすい。ひとりの人、ひとつの作品についてこんなに調べあげちゃったら、よからぬことまで露呈してしまうのではないかと不安になるほどに執拗なアプローチをかけられていてもなお魅力が失せることがないどころか、むしろ増している。人、作品、歴史(と科学・人文学)に対するボストリッジの深い信頼と愛が感じられてよかった。2019/05/25

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